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更新日:2007年4月

Drからの守れ安産!メッセージシリーズ第3回
「お産で尿もれにならないために」の巻

にんぷの世界へようこそ! このコーナーでは、にんぷワールドで必ず出遭う言葉や現象の“知ってるつもり”を再検証! ためになりますよ〜!

INDEX

 

妊娠中のある日、突然おしっこがもれて驚く人は多いことでしょう。多くは一過性のものですが、お産によって尿もれがさらにひどくなることも! 尿もれが気になって、赤ちゃんのお世話をしても楽しくない――そんなことにならないようにするには、どうしたらいいの?今回は女性骨盤底学会で理事を務める、三井記念病院産婦人科医長・中田真木先生のお話です。

妊娠中の尿もれ、なぜ起こる?

中田真木先生

1956年生まれ。東京大学医学部卒業後、同大学医学部産婦人科にて研修。大分県立病院、国立霞ヶ浦病院などに勤務後、渡仏しパリ病院連合の産婦人科、泌尿器科、神経内科などで骨盤底と排尿機能に関するトレーニングを受ける。帰国後、東京警察病院産婦人科などを経て、現職。女性骨盤底学会理事として、複数の診療科とのコラボレーションを見据えた骨盤底医療に注力する。

骨盤底のイメージ

骨盤底のイメージ。
おなかの中の臓器を下から支えている。

妊娠中に尿もれを経験した人は、統計によると約半数。とはいっても、多くは「1日1、2回」「トイレに行けない状況でくしゃみをしたらもれた」という程度。その程度の尿もれは医学的にはあまり心配はいらないと言いますが、こうした不安にさらされる妊娠中は「自分の体が頼りなくなった」と感じるかもしれませんね。
妊娠中の尿もれの原因は、赤ちゃんの成長とともにだんだんと大きく重くなる子宮が、その下にある膀胱を圧迫することによるもの。そして、膀胱の下に位置する骨盤底も尿もれに、おおいに関係しています。
骨盤底というのは、その言葉の通り「骨盤の底の部分」で、筋肉などの線維組織でできています。骨盤の内側にある子宮や膀胱などの臓器を支える大事な場所で、その様子はハンモックに例えられます。人が乗るとその重さでハンモックは下にたわみますが、妊娠中の骨盤底はまさにこの状態です。
通常は重さが加わっても、骨盤底がギュッとしまって、おしっこがもれないように止めます。しかし、妊娠中は子宮の重みで骨盤底がたわんで締める力が弱いうえに、膀胱も圧迫されて、ちょっとした動作でおしっこがもれてしまうのです。
また、体型も影響します。きゃしゃな骨格だと骨盤底も弱くて尿もれしやすく、切迫早産になりがちです。逆に太り過ぎも自分の体重が重みになって骨盤底をさらにたるませます。
また、最近のスリム志向や足腰を鍛える機会のない毎日は、昔の日本の生活に比べて、骨盤底を鍛えるチャンスを失っています。若い女性の骨盤底は一般に弱くなっているんですね。

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尿もれ、頻尿にトラブルが隠れていることも

よく起こることとはいえ、この時期の尿もれを軽くみてはいけません。妊娠中の頻尿や尿もれには、数が少ないものの「慢性的な尿路感染症」や「カンジタ膣炎」が隠れている場合があります。また経産婦が主ですが、「骨盤底が弱く下がっている」ケースでは早産や流産、頸管無力症などにつながることもあります。
とくに問題がなくても「もれる」というのは、すでに骨盤底に負担がかかっている状態。もし尿もれが起きたら「あまり無理しないで」という体からのメッセージと受け取って、休息を心がけてください。骨盤底にやさしい生活は、安産を支え、将来の尿もれなどの回避にもつながります。
それから、出産が近づいてきたときに気をつけてほしいのは、「おしっこがバシャッともれた!」と思ったら、実は「羊水(破水)だった」という勘違い。匂いをかいで、本当におしっこかどうか確認してくださいね。

妊娠中から骨盤底にやさしい生活を
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お産で尿もれリスクが高まる!?

妊娠出産回数と腹圧性尿失禁の相対リスク

出産回数が多いほど尿もれリスクは高くなる。でも、65歳以上になると、過去に子どもを産んでいてもいなくても、尿もれになる率は変わらない。20代〜50代のクオリティオブライフのためにも、尿もれ体策は重要だ。

骨盤底がしっかりしていれば尿もれになりにくい、ということはわかっていただけたと思いますが、じつは骨盤底に最も負担をかけるのが出産です。
赤ちゃんが産まれてくる産道は、骨盤底を突き抜けています。ですから出産では、多かれ少なかれ骨盤底の組織が引っ張られたり切れたりして、傷むものなのです。
通常よりも出産に時間がかかったり、体の大きな赤ちゃんだったり、吸引分娩や鉗子分娩で急激な力が加わったりすると、骨盤底を傷つける可能性は高まります。
こうした無理な出産で傷ついた骨盤底は、産後徐々に回復しますが、なかなか完全というわけにはいきません。年齢が若ければ回復が早く、回復状態もいいのですが、出産年齢が高くなると回復力が弱くなり、その後の尿もれにつながりやすいのです。
また、お産で傷ついた骨盤底がしっかり回復しないままでいると、加齢による筋肉の衰えなどと相まって、40〜50代以降に尿もれ(腹圧性尿失禁)として表面化することも。
ですから、産後はけっして無理しないこと。ゆっくりと養生して、骨盤底の回復に努めることが大切です。

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産後は膀胱に尿をためてからトイレへ

産後の骨盤底回復のためには、まず、「膀胱がいっぱいにふくらむまでおしっこをためる」ことを心がけてください。
産後1〜2週間すると、骨盤底のあたりが心もとなく「おしっこがもれそう」「トイレに間に合わない」と感じることがあるかもしれません。しかし、このとき「尿意がないのに早めにトイレに行く」のは厳禁です。というのは、妊娠中は「膀胱が収縮しておしっこが出る」というナチュラルな排尿ができず、「腹筋の力で排出する」ことをしがちです。産後もその悪い癖を残さないようにしなければいけません。
「膀胱に尿がたまっておしっこがしたくなる」という自然な排尿感覚を取り戻すためには、こうしたリハビリが必要なのです。尿もれが心配で早め早めにトイレに行きたくなるでしょうが、そこはガマン。少々もれてもいいくらいに構えて、尿意を感じてからトイレに行くようにしましょう。最近は尿もれ用のライナーなどもいろいろ出ていますから、上手に利用するといいでしょう。

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骨盤底トレーニングで、尿もれ予防

骨盤底トレーニングのやり方
 

骨盤底を意識しながら行うのがポイント。最初は仰向けの姿勢で、コツがつかめたらイスに腰掛けたり、机に手をついて立った姿勢でもOK。家事の合間やテレビタイムに、気軽にチャレンジを。

 
骨盤底トレーニングのやり方
 

(1)仰向けになって、両足の膝を立て、足を肩幅に開きます。
(2)1分間のうち12〜14秒程度、骨盤底に力を入れて締めます。肛門、尿道と膣全体を締めて、陰部全体を体内に引き上げるイメージで。おなかや背中など、他の場所には力が入らないようにします。
(3)1分間の残り46秒〜48秒は、力を抜いてリラックス。
(4)これを10回繰り返します(10分間)。
※慣れるまでは片手をおなかにのせて、腹筋が動いていないことを確認して。
※12〜14秒がきつい人は、5秒程度から始めましょう。

そして、骨盤底を鍛え、将来の尿もれを予防するためには、産後の「骨盤底トレーニング」をしっかりすることです。骨盤底を意識しながら、筋肉を引き締めたりゆるめたりする運動で、おならをこらえる感覚に似ています。
産後1〜2週間を過ぎてから始め、8週くらいまでは、1日10分を2回程度、その後は1日1回程度を目安に行います。
体を締めつけるガードルやジーンズなども血流を妨げ、骨盤底に負担をかけるので、身に着けるのは産後8週以降を目安にしてください。
産後3カ月くらいすると、尿もれはだいたい治まってきます。この時期に回復する気配がないときは、骨盤底のダメージが大きいと考えられるので、病院で相談しましょう。
ただ、こうした骨盤底の大切さ、将来の尿もれへの影響は、残念ながら産婦人科医の間でもまだ深く認識されていないところがあります。でも、女性にとっては生涯にわたって快適な生活を送るために、欠かせない問題。みなさんには妊娠をきっかけにぜひ意識してほしいですね。安産と育児を充分に楽しむためにも。

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取材協力/三井記念病院(東京都千代田区)
監修/中田真木先生(三井記念病院産婦人科医長)

 

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