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妊婦の理想の体重の増え方は? 体重管理について

2018.01.30

カンタン60秒!タイプ別プレママ診断

「おなかの赤ちゃんの分まで食べなさい」――そう言ったのは昔の話。今は、食べすぎ太り過ぎは、母体にとってもおなかの赤ちゃんにとっても、良いことナシ。かといって、痩せすぎもダイエットもNG。いったい、おなかの赤ちゃんが健康に育つためには、どのくらい体重が増えるといいのでしょう? トラブルや病気を防ぐ妊娠中の理想的な体重増加量と体重管理のコツをご紹介します。

監修者プロフィール

小川博康先生
小川クリニック院長
日本医科大学卒。同大学産婦人科学教室、私学共済下谷病院、恩賜財団母子愛育会愛育病院、横浜赤十字病院副部長などを経て、現職。子宮内胎児交換輸血、一絨毛膜双胎一児死亡例の選択的胎内手術など、世界で一例しか成功していない症例の主治医。優しくも、ときに厳しく本音で語るドクターとして信頼は厚い。妊娠出産のバイブル『ハッピー★マタニティ』(学研)を監修。『「安全神話」の過信が招く 妊娠・出産の“落とし穴”』(幻冬舎経営者新書)
小川クリニック

赤ちゃんが育つのに必要なカロリーって、どれくらい?

母体が食べたもの(栄養)が、そのままお腹の赤ちゃんにいくわけではありません。栄養は、一度母体に蓄えられ、母体の血液から必要なものが選択されて、胎盤を通して赤ちゃんに届きます。

妊娠すると妊娠前よりも、鉄分やたんぱく質、ビタミンなどさまざまな栄養素が余計に必要になります。しかし、カロリーでいうと、妊娠後期でも、妊娠前の1日の摂取量に、450kcal程度をプラスするだけ。意外に少ないんです。

妊娠すると太るのは、自然なこと?

妊娠中は、ホルモンの働きもあって太りやすくなっています。皮下脂肪をつけて、おなかの赤ちゃんを守ろうとしたり、出産や産後の母乳に備えて、エネルギーを蓄えようとしているのです。出産の出血に備えて、循環する血液の量も増えていきます。

こうした分が合わさって、体重増加分となるのです。赤ちゃんが生まれる直前、妊娠10ヶ月の胎児や胎盤、羊水などの増加分などと合わせた、内訳を見てみましょう。

母体必須体重増加というのは、大きくなった子宮や蓄えられた脂肪分、また妊娠によって増えた血液や体液分です。赤ちゃんの成長分と母体に必要な体重増加分を合わせると、約7~8kgという計算になります。

この必須体重増加と、次に紹介するBMIの数字をもとにしながら、自分にとっての適性な体重増加はどのくらいになるのか、ドクターとよく相談しましょう。

どんな体重増加が理想的?BMIでチェック

妊娠中の体重増加は、妊娠する前に、もともとやせていたのか、太っていたかで、目標とする数値が違います。BMI(Body Mass Index)で表したものがあるので、見てみましょう。BMIというのは、国際的に最も信頼されている体格指数です。

妊娠前の体重 kg

身長 cm

 

BMI 肥満度 理想の体重増加
18.5未満 やせている 9~12kg程度
18.5以上~25.0未満 標準 7~12kg程度
25.0以上 太っている 個別対応

自分のBMIがどの区分に入っているか、理想の体重増加がどのくらいか、わかりましたか?
この体重増加は、妊娠10ヶ月の出産直前の目標数値です。

BMIが25以上は、個別対応となっていますが、25をやや超える程度の場合は、だいたい5kg程度の増加が目安といわれています。

増加は1週間500g以下、と覚えよう!

理想とする妊娠10ヶ月の体重増加を実現するために推奨されているのが、1週間に300~500g程度の増加です。

BMI 肥満度 妊娠中期・後期
1週間あたりの推奨体重増加量
18.5未満 やせ 300~500g/週
18.5以上~25未満 ふつう 300~500g/週
25以上 肥満 個別対応

妊娠初期は、つわりなどもあり、データも乏しいために個別対応となっていますが、「あまり細かいことよりも、全期間を通して1週間に500g以下と覚えておきましょう」と、小川先生。

妊娠の途中経過は、次のグラフが参考になります。色のついたゾーンなら適正範囲。中心線は平均です。

(日本医科大学産婦人科、荒木教室のデータをベースに作成)

よくないのは、急激に体重が増えたり、またダイエットなどして急にやせたり、無理して痩せたりすること。少しずつ増えていくことが大事なのです。

「とはいえ、うっかり調子にのって食べ過ぎて1週間に500g以上増えてしまうこともあるかもしれません。そうしたら、その週の食事を振り返って反省して、次の週は500g未満の増加で済むように抑えればいいのです。あまり厳密に考えず、かといって、自分を甘やかしすぎてもいけません。ゆるやかに体重が増えていくぶんには、理想の体重増加からはみ出たとしても、大きな問題になることは、まずありません。」(小川先生)

太り過ぎていいことは、なにもない!

妊娠中に過度に太りすぎると、さまざまなトラブルが起こりやすくなります。それはときに母子に大きなリスクをもたらします。

妊娠高血圧症候群のリスクが高くなる

かつて、妊娠中毒症と言われた妊娠高血圧症候群。太り過ぎると、そのリスクが高くなります。放っておくと、胎盤の機能が低下して赤ちゃんに充分な酸素や栄養が送れなくなり、早産や未熟児の原因となって、母子ともに命にかかわることがあるのです。

血圧が高くなったり、たんぱく尿が出たり、むくみが出たりしたら、注意信号。医師の管理が必要になります。

妊娠糖尿病のリスクが高くなる

妊娠糖尿病になり、血液中の血糖に異常が起こると、おなかの赤ちゃんまで皮下脂肪を蓄えて、太りぎみになります。体重4000gを超える巨大児になると、帝王切開の確率が高くなります。また巨大児の赤ちゃんは、からだが大きいわりにひ弱で、内臓の機能が未熟なこともあります。母体にも影響が及ぶこともあります。

まだまだ、こんなトラブルも招きます

  • 体重が負担になって、膝痛や腰痛に
  • 産道などに余分な脂肪がついて、赤ちゃんが下りてきにくい
  • 子宮収縮が弱くなって(微弱陣痛)、出産が長引くことがある
  • 出産が長引くと、産後のママのからだの回復が遅くなりがち
  • 産後、腎臓病や高血圧などの慢性病に移行してしまうことがある

やせ過ぎタイプや、体重がなかなか増加しない人は?

逆にやせ過ぎにも、いろいろなリスクがあります。妊婦がやせ過ぎていると、低体重児(2500g未満)の赤ちゃんが生まれる割合が高くなるという報告があります。また、胎児は母体から優先的に栄養をとって成長していきますから、栄養を取られた母体は、余力がなくなり、さまざまなトラブルを起こしやすくなるのです。

また胎児が栄養不足になると、飢餓の遺伝子が発現して、のちに高血圧や糖尿病などの生活習慣病を発症するリスクが高くなる、ともいわれています(成人病胎児期発祥説)。

もともとBMI18.5未満のやせ形タイプの人、また体重がなかなか増えない、増えにくいという人は、できるだけバランスよくしっかり食べるように心がけましょう。心配なときはドクターや助産師さんに相談してください。

スポーツやダイエットで体重管理は、大まちがい!

体重管理はあくまで、バランスのいい食事が基本です。

「ふだん運動していなかった人が、急に妊娠中の体重管理を目的に運動を始めるのは、考えもの。適度な運動や散歩、ストレッチなどは、気分転換や筋肉の力を保つためにもおすすめですが、過激な運動でカロリーを消費しようとか、ダイエットでつじつまを合わせようなんて、大まちがい!」と小川先生。

運動は医師の許可を得てから、無理しない範囲で行いましょう。

塩分の摂り過ぎが招く、水太り。ダシの旨味を大切に

「体重管理がなかなかうまくいかない、太り過ぎてしまう、という人に多いのは、塩分の摂りすぎです」と小川先生。

ジャンクフード、外食、コンビニ食、デパ地下のお惣菜などに頼っていると、どうしても塩分過多になってしまいがち。塩分を摂りすぎると、体液のバランスを取り戻そうと、水分を多く摂ることになります。血液などにも水分を取り込むために、血圧が上昇。細胞のまわりにも水分が増えて、むくみが起こるのです。

「要は水太りです。塩分の取りすぎは、妊娠高血圧症候群をはじめとする、重大なトラブルの入り口と心得てください」(小川先生)

和食のダシのおいしさを大切に、薄味になれて、肉、魚、野菜、穀類、海草、ナッツ…とバランスよく食べましょう。それがいちばん母体と赤ちゃんにとって、よいことなのです。

「オーガニック食材やサプリメントにこだわる前に大事なのは、バランスのいい食事、食生活です。健康食品などの宣伝文句に惑わされないでください」(小川先生)

体重増加、5つの魔のターニングポイント

日々食事に気をつけていても、ふと気がゆるんで食欲が暴走してしまうことがあります。次のようなときには要注意。少し気を引き締めて、いきましょう。

つわり明け

つわりが軽くなって、胃も心もすっきり晴れ晴れ。なんでもおいしく感じられて、ついつい食べ過ぎてしまいます。

イベントのとき

誕生日、クリスマス、お正月……。みんなで楽しく盛り上がって、いつしか食欲のままに食べ過ぎて――。イベントには甘いケーキもつきものです。食べるな、とはいいません。その日限りの「1日限定」にして、翌日は控えめに。元のペースにすぐ戻しましょう。

安静にといわれたとき

医師がいう安静とは、トイレと食事以外は寝ているということ。動かないわけですから、消費カロリーはぐっと減ります。しかも寝てばかりでやることないので、ついお菓子に手が伸びて・・・なんてことにならないようにしましょう。

産休に入ったとき、里帰りしたとき

産休に入ってから、急に太ってしまう人は多いですね。通勤や仕事で使っていたカロリーが、消費できないことも一因。里帰りして親がなんでもやってくれる極楽生活にも要注意!

臨月になったとき

おなかがぐっと張り出して、動くのがおっくうで・・・。それに、もうすぐ生まれる、と気がゆるんでしまうんですね。妊娠の後半は、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)を発症しやすいので、注意しましょう。

体重管理、成功の4つのカギ

最後に、体重管理のコツをご紹介。ぜひ、試してみてください。

毎日同じ時間に体重を測る

朝起きて、トイレに行ったあと、朝食の前がベスト。毎日体重計に乗ることで自覚が生まれます。

これまでにやってきた家事や散歩は続ける

おなかが大きくなると、動くのがおっくうになりますが、気分転換のためにも、いつもの家事や散歩はおすすめ。

食事をすべて書き出す

間食が多い、脂っこいものが多い、バランスが悪いなど、反省材料が見つかります。

塩分控えめの食事にする

小川先生も妊娠中のトラブルの引き金になると警告する、塩分過多。世界に誇るダシの「うまみ」を利用した、料理を心がけましょう。家族の健康、そして出産後は赤ちゃんの離乳食にも、役立ちます。

「体重管理」私の場合

  • 水を飲んでも吐いてしまう苦しかったつわりも、4ヶ月の終わりごろにはすっきり。うれしくてあれもこれも、と食べていたら、あっという間に1ヶ月で3kg増。その後反省して、いま8ヶ月で妊娠前の7kg増し。なんとかこの調子でいきたい!

    (とこ 29歳 妊娠8ヶ月)

  • 妊娠初期は食べづわり。いつも何か口に入れていないと気持ち悪いから、バッグにはいつもチョコレート。その上アイスクリームにもはまってしまい、結局太り過ぎて、妊娠高血圧症候群になって、むくみや静脈瘤にも悩まされました。

    (33歳 3ヶ月男の子のママ)

  • もともとが身長158cmで体重71kg。BMIで計算してみたら、28.4で当然ながら、太り過ぎゾーン。ドクターは「体重は増やさないように」だって。ママが太らなくても赤ちゃんはちゃんと育つんだそうです。けっこう辛いけど、いまんとこ頑張って現状キープ。がんばります!

    (かぼちゃ系 31歳 妊娠6ヶ月)

  • 9ヶ月に入って里帰りしました。臨月はちょうどお正月と重なって、上げ膳据え膳の寝正月。それまでずっと理想的に増やしてきたのに、1ヶ月で3.2kgも増えてしまいました。臨月の頃って、ぐぐーっと体重が増えるんですね。

    (27歳 生後2ヶ月・ゆかのママ 29歳)

  • ドクターがあんまりうるさく言わない人だったんです。私もおなかの赤ちゃんのために、と食べまくり。結局15kgも増えてしまいました。妊娠高血圧症候群にもなって、生まれたこどもは、ちょっと未熟児。お産の時間も長くかかって、産後のひだちも悪かった……。

    (生後6ヶ月のママ 35歳)

  • 切迫流産で入院したときのこと。入れ替わり立ち替わりやってきたお見舞い客の差し入れのお菓子がまずかった。ちょっと気を許したら1週間であっという間に600g増。医師に厳重注意されました。

    (27歳 りん子 妊娠9ヶ月)

  • 出産直前まで仕事してて忙しかったせいで、体重管理のことはあまり考えませんでした。でも、結果オーライ! 産科の先生にもほめられましたよ。

    (生後3ヶ月・ちーたんのママ 34歳)

監修:小川博康先生(小川クリニック院長)
取材協力:小川クリニック(神奈川県横浜市戸塚区)

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