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息抜きヨガ(リストラティブヨガ)【新マタニティスポーツ】

2016.09.07

「お産は体力勝負!妊娠中に体を作っておかないと!!」。そんな記事を見かけるたび、「運動、しなくちゃいけないのかなぁ…」と不安になっちゃうことって、ありませんか? つらいこと、ハードなことは極力やりたくないけど、産後に備えて何らかのアクションはしておきたい。そんな人にピッタリのヨガを見つけちゃいました!

取材協力・監修

岡部朋子(おかべともこ)さん

全米ヨガアライアンス認定インストラクター(E-RYT500)。ルナワークス主宰。慶應義塾大学卒業後、商社勤務を経て、同大学院にてMBAを取得。その後、アメリカでヨガを学ぶ。現在は日本で初めての国際ヨガセラピスト協会(IAYT)メンバースクールとして、医療としてのヨガの普及に努めている。2児の母。

産前産後の女性や
高齢者、がん患者の
ためのヨガ

ヨガと聞くと、美意識の高いスリムな女性たちが、ヨガマットを抱えて颯爽と教室に通っている様子をイメージします。

「私は体が硬いから向いてない気がする」「ハアハアゼエゼエ、ストイックで何だかきつそう」「スピリチュアルな世界観についていけなさそう」「むくんだ自分の体を鏡で見たくない…」

ヨガはなんだかハードルが高い感じがして近づけない…と気後れしている人に、ピッタリのプログラムがありました!

その名も、リストラティブヨガ。
ふむふむ? まだあまり聞いたことのない名前ですが・・・?

「リストラティブとは、英語の“restore”、つまり再生するヨガという意味です。私は【息抜きヨガ】と呼んでいますけど、リラックスすることでまた元気に再出発しよう!というヨガなんです。そうですね~、【頑張らないヨガ】というと、もっとわかりやすいかな?(笑)」

笑顔でそう答えてくださったのは、岡部朋子さん。水戸在住の2児のママです。アメリカで暮らしているときに、高齢者やがんの患者さんがヨガをやっている光景を目にして衝撃を受けた岡部さん。すぐにその概念を記した専門書を翻訳して日本に持ち込んだという、リストラティブヨガを代表するインストラクターの一人です。

「ヨガは非常にすそ野が広くて、目指すものもさまざまです。それこそ顔を真っ赤にして何分も逆立ちをするようなストイックなものもあれば、びっしょり汗をかくホットヨガ、筋肉をつけることを目的にするヨガもありますね。私は元々運動がすごくできるわけではなかったので、リストラティブヨガに出会ったとき“これだ!”って目の前が開けたんです(笑)」

おお~! なんだか気軽にできそうな気がしてきた!!
もっと教えてください、岡部さん。

抱き枕に身をゆだねたり、
寝転がったり…。
気持ちいい~!

リストラティブヨガは「ゆだねる」ヨガ。いわゆる普通のヨガのように、ポーズを「とる」という感覚ではなく、姿勢を補助する道具(抱き枕やブランケット、専用の補助具やストラップなど)をどんどん使って理想の姿勢に体を近づけていきます。

「だから、体が硬くても、お腹が大きくても、体力が落ちた産褥期でも、腰が曲がってしまったお年寄りやポーズに制限のある患者さんでも、大丈夫なんです! 大地と体が自然な形で接地するよう、枕やブランケットなどを差し込んだりして、完全なリラックス状態をつくっていきます」

無意識のうちに体のあちこちにかかっている負荷や圧迫を、やさしく引きはがしてゆるめる。その状態で、深いゆっくりとした呼吸をすると、身体の不調がフッと緩和され、脳の働きが鎮められ、精神が深く安定して、リラクゼーション状態が導かれるというわけです。

「私の教室に来られる生徒さんはみんな “癒されたい”という方ばかり。体を鍛えたいというモチベーションよりも、腰が痛いとか足がだるいといった妊娠中の不調や、心身のプチストレスから解放されたい方がほとんどですね」

一つ一つじっくり時間をかけてアーサナ(ポーズ)をとっていくのも、リストラティブヨガの特徴です。長いものは20分間ほど同じ姿勢を取り続けるとか。楽な姿勢でゴロンと寝転がり、抱き枕につかまって深~い呼吸・・・をしている間に、芯からリラックスして寝息を立ててしまう人も少なくないそうです。

「いまあるマタニティヨガはエクササイズの延長線上にあるため、安定期に入ってからといわれることも多いです。でも実は一番ヨガを必要としている時期って安定期に入る前。妊娠を告げられた頃とか、仕事をやめるかどうするか悩んでいる頃など、心身ともに揺れ動く3ヶ月の間だと思うんです。

お腹はまだ小さいけれど、細胞分裂のスピードが一番激しくて、多くの女性がつわりでしんどい…。リストラティブヨガはそんな心身ともにしんどい時期にもやっていただけます」

産後に備えて
「休み方」を覚えよう

リストラティブヨガは、心と体のストレスを取り除くためのヨガ。妊娠中や産後など、ホルモンバランスのせいでメンタルが乱れがちな時期にこそやってほしいと岡部さんはいいます。

「妊娠をすると、どうしても動きが制限され筋肉が落ちていきます。ヨガで体を動かすことは、出産のために足の内側を鍛えたり、産後の抱っこ地獄に耐えられる腕力をつけておくという意味もあるけれど…。リストラティブヨガの一番の目的は、そこではないんです」

リストラティブヨガの最大のポイントは、休むことに対する「罪悪感」を捨てられる、ということ。

産後の女性はほぼ例外なく、24時間体制で赤ちゃんの命を守ろうと、いろいろなものを抱えてしまいます。時には自分で制御することが不可能にもなるほど…。これが「産後うつ」の引き金になることも少なくありません。

「リストラティブヨガを通じて頑張りすぎる自分からひととき離れる、休む練習をしておくと、産後本当にしんどくなったときに「休んでもいいんだよ」「ゆだねてもいいんだよ」と、自分を責めずに解放してあげられるんです」

おお! 休む練習! 目からウロコです!

「あれもやろうこれもやろうと、アグレッシブに妊娠期を過ごすのはもちろん結構ですが、産後にいきなり休めっていわれても、どうやって休めばいいかわからないでしょう?(笑) 妊娠中にうっかり寝ちゃうくらいリラックスできる時間をもつことは、産後への大切な備えでもあるんですよ」

レッスン①
胸と肩甲骨を広げて
気持ちをゆるめる

まずは気持ちをゆるめるポーズから。心身の緊張があらわれやすい胸をゆるめて開きます。

step1

座布団などを折り曲げて、あぐら坐になって座り、両手を胸に当てます。

step2

フーッと息を吐きながらゆっくりと胸をなでおろし、これを3回繰り返します。

step3

顔を横日向けたときに浮き出る筋肉を「胸鎖乳突筋」(きょうさにゅうとうきん)といいます。ここが張ると首や肩こりの原因になるため、呼吸をしながらほぐしましょう。

step4

首の筋(胸鎖乳突筋)を人差し指と親指でつまみながらもみほぐします。左右3回ほど行ったあと、最後に一息フーッと吐いてリラックスします。

レッスン②
肩甲骨と背骨をゆるめる

肩甲骨が固まると腕の動きが制限され、体も「融通が利かない」状態に。ここをゆるめると、産後もラクに体が動きます。

step1

息を大きく吸って、両手を大きく開きます。手のひらも大きく開いて!

step2

息を吐きながら、肩甲骨を引き寄せるようにして、ひじを体に引き寄せます。大きく3~5回繰り返しましょう。

step3

息を吐きながら骨盤を後ろに倒し、背中をギュッと丸めて両手でお腹を抱えます。赤ちゃんに「こんにちは~」と話しかけるような気持ちで!

step4

息を吸いながら、プリッとお尻をつきだすようにして骨盤を前に倒し、胸の前を大きく開いて両手を後ろに引き下げます。これを3回繰り返しましょう。

step5

イスの背やテーブル、カウンターやバスタブなど、ほどよい高さのところに手をつき、足を腰幅よりも広めに開いて、上体を床と平行にします。

step6

膝を一度曲げてから、足裏全体で床を押すように、足をゆっくり伸ばします。体重を足のほうにかけながら背中や腰を伸ばし、ゆっくり大きく3~5回呼吸しましょう。

レッスン③
息を長く吐く練習

出産は呼吸がとても大事。息を長く貯められ、長く吐けるほど、陣痛のときにいきみ逃しがしやすく、痛みに耐えられます。肺活量を高めると同時に、緊張をゆるめるポーズです。

step1

床に枕やたたんだ布団などを置き、頭をおいてうつぶせに。お腹が圧迫されないように足を開いてスペースを作ります。

step2

そのまま体を枕や布団に預け、1~3分ほど、深ーく長い呼吸を繰り返します。鼻から息を吸い、口からゆっくり吐きだしましょう。

step3

パートナーと背中合わせになって体重を預けてもらうと、よりしっかりストレッチされて余分な緊張感が消えていきます。パートナーの体温をしっかり感じることで、安心感も!

レッスン④
深いリラックスを得る練習

最後に、深いリラクゼーション状態へ導くポーズです。

step1

あぐら座をかき、両膝の下に枕やブランケットなどを畳んで入れます。そのままベッドやソファにもたれかかり、お腹に軽く手を当てて、フーッと深い呼吸を繰り返します。

step2

10~20分ほどそのままで。目の上にアイピローやホットタオルなどを置くと、より深いリラックス状態が得られます。股関節やお尻に力がかからないよう、ムリのないポーズを取りましょう。

step3

次に右側を下にして、横向きに横たわります。頭の下には枕、畳んだ布団などの上に左足と左手を乗せ、深い呼吸で10~20分休みましょう。

step4

右側を下にすると、胃もたれが楽になります。むくみなどが気になる人は、左側を下にして寝ると、血液や老廃物のめぐりがスムーズになります。

step5

最後に「ねじり」のポーズです。畳んだ布団や大きめの枕・クッションなどを用意し、横座りをします。そのまま体をねじって布団に寄りかかり、体の力を抜いて3分間リラックスしましょう。呼吸は自然な状態でOKです。

step6

お腹が苦しい人や足がしびれやすい人は、足の間に座布団やブランケットなどを挟むと緩和されます。左右3分ずつ行ったら、ゆっくりと起き上がりましょう。

エクササイズでもない、ストレッチでもない、体に負担がかからないストレスフリーな動き。

“こんなに楽でいいんですか?”という感じですが、いざやってみると体が本当にラクになり、普段の自分がいかに疲れているかを実感してしまいます。

「自分がリラックスしている状態を、時間がたっぷりある妊娠中に、ぜひ知っておいてくださいね!」

取材協力/リストラティブヨガ・インストラクター岡部朋子さん

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