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胎児well-being検査(NST)【妊娠中の検査シリーズ】

2010.11.03

何時間もかかるお産は、ママだけでなく赤ちゃんにとっても大きな試練です。おなかの赤ちゃんがその試練に耐えられる元気な状態かどうかを確認するのが、「胎児well-being検査」です。
中でも、代表的なのがNST(ノン・ストレス・テスト)。受けるのはとても簡単で、ママはおなかにセンサーを当てられて寝ているだけで検査が終了します。痛くもなんともありません。
この検査では、赤ちゃんの反応をグラフにしたものが結果として出されます。読み解くのはなかなか難しいので、ここでじっくり勉強してくださいね!

この記事の監修

松岡隆(まつおか りゅう)先生

松岡隆(まつおか りゅう)先生

昭和大学医学部講師。昭和大学病院産婦人科産科病棟医長。
平成6年筑波大学医学専門学群卒業後、昭和大学産婦人科学教室、平成14年昭和大学産婦人科学教室助教を経て、平成21年より昭和大学産婦人科学教室講師。
日本産婦人科学会産婦人科専門医、日本超音波医学会超音波専門医、日本周産期・新生児学会周産期(母胎・胎児)専門医。
妊婦の不安や考えがどこにあるかを汲み取りながら最善の方法を尽くす。「産科(周産期)のプロフェショナル」を自負。アドバイスや治療方針の説明も温かくわかりやすいと評判。

昭和大学病院産婦人科ホームページ

http://www10.showa-u.ac.jp/~obstgyne/index.html

NST

NSTはノン・ストレス・テストの略。ノン・ストレスというのは、ストレスがない、つまり子宮収縮のない(お産が始まっていない)状態のこと。このときに胎児の心拍数を調べる検査。胎児心拍数モニタリングともいう。ほとんどの病院で行われている。

検査時期 一般的に妊娠34週以降
検査方法 おなかの表面に子宮収縮と胎児心拍をキャッチする2つの器具を装着する。
胎動があったらボタンを押す。
器具がずれると正しい結果が出ない心配があるので、できるだけ同じ姿勢を保つようにする。
所要時間は20~40分。
検査内容 胎児well-being検査(胎児が良好な状態であることを確認する検査)のひとつ。
胎児の心拍数の推移を持続的に観察し、その変化のパターンを見る。
検査結果 記録紙に出力、あるいはコンピューターに取り込んだ心拍波形のグラフを医師が診断する。
結果は大きく分けると、正常とそれ以外(正常と断定できないが異常とは限らないグレーゾーンと異常パターン)がある。
正常以外の場合は、必要に応じて他の検査を併用する。
入院検査となる場合もある。
母子健康手帳への
記載例
記載用のページはとくにはないが、実施日を記載することが多い。
  • 実施の時期や回数は病院によって、また妊娠経過によって異なる。
  • 結果は記録紙に出力されるタイプのほか、病院によって、直接コンピューターに取り込む場合もある。

もっと知りたい
「胎児well-being検査(NST)」!
Q&A

胎児well-being検査は、どういう検査ですか?

「well-being」とは、「良好な状態」。つまり、胎児が元気かどうかを調べる検査です。たとえば、お母さんは元気で異常はないし、特別な症状もない…。でも、胎内のことは血圧計測や尿検査などの妊婦健診で全てわかるわけではありません。子宮の中の胎児に直接「元気?」と聞くことはできませんが、「できるだけ直接に近い方法で」胎児の状態を観察するのが、「胎児well-being検査」です。胎動のチェック、超音波検査なども含まれますが、その中で代表的なのが、NST(ノン・ストレス・テスト)です。

NSTは胎児の何を調べるのですか?

胎児の心拍の推移を調べます。これは胎児の状態を知る貴重な情報です。心臓がしっかりと正常に働いて元気なら、心拍は正常な拍数や波形を描きますし、もし、苦しかったり弱ったりしてくると、異常を示します。NSTは胎児心拍数を観察する検査なので、「胎児心拍数モニタリング」とも呼ばれます。

NSTは必ず受けるのですか?

妊婦健診でとくに異常がない場合を含めて、ほとんどの妊婦が受けます。実施時期は病院によって多少違いますが、妊娠経過が順調な場合は、妊娠34週~36週以降が多いでしょう。ただし、母体に妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症がある、胎児発育不全(FGR/fetal growth restriction)の心配がある、胎盤機能不全や羊水過少など子宮内環境が悪い心配がある、というような場合には、もっと早い時期から行います。

NSTの検査の受け方、手順は?

おなかに器具を装着

母体のおなかの張りをキャッチするセンサーと、胎児心拍数をキャッチするセンサーをつけます。センサーはおなかに少し押し付けてベルトで固定します。ゆるすぎるとキャッチできないので少しきつめに巻きます。上半身を少し起こした仰向けの姿勢で、脚は伸ばして下腹部を圧迫しないようにします(ファーラーの体位)。

胎動を感じたらボタンを押す

胎動があったときの心拍数の変化を観察します。胎動を感じたらボタンを押しますが、自動的に胎動をキャッチする機械では必要ありません。

所要時間は最短で約20分

胎児が起きていて胎動があるときは、20分程度で終わりますが、ちょうどお昼寝時間と重なってしまうと、検査結果がうまくとれません。ブーブーという音を胎児に聞かせて眠りから起こすこともあり、その場合は40分ぐらいかかることもあります。機械から聞こえてくる胎児の心音を聞いたりしながら、リラックスして検査を受けましょう。

上半身を少し起こして装着。2つのセンサーがずれないようにベルトで固定します。

胎児心拍の記録が紙に印刷されて出てきます。

妊娠の後期にNSTを行う目的は何ですか?

胎児は、子宮から何時間もかかって、狭い産道を通り抜け、この世に生まれてきます。ママもつらいでしょうが、胎児もラクではありません。この大きな誕生の試練に胎児が耐えられるかどうか、いざというときに心臓が正しく働いて心拍をあげ、血液を全身に送ってがんばれるかどうか--。事前にその予備能力があるかどうかを予測するのです。予備能力があまりない、となれば、たとえば早めに帝王切開を予定するなど、対策を立てることができます。

お産のときにも「分娩監視装置」というのをつけますが、これと同じなのですか?

まったく同じ機械です。お産が始まるとストレス(子宮収縮)のある状態になるので、CTG検査と呼ばれます。Cは胎児心拍数、Tは陣痛、Gは図、のことを指し、「胎児心拍数陣痛図」ともいいます。このときは、胎児心拍数と陣痛を同時に観察します。分娩中の胎児が元気かどうかがわかるのです。もし「弱ってきた」とわかったら、吸引分娩や鉗子分娩、ときには緊急帝王切開手術に切り替えて、胎児を救うことができます。それがCTGの目的です。

一方、お産が始まる前に同じように胎児の心拍数を観察するのが、NST(ノン・ストレス・テスト)。この検査で「胎児がお産のストレスに耐える力はなさそう」とわかれば、さらに早めに帝王切開を予定するなど、対策をたてることもできるわけです。

お産のときなどは、ベッドに固定されていると不便。自由に動けるように、モニターを無線で送信できるタイプもある。

NSTの検査結果について教えてください。

「正常」の意味は…

「検査の時点」で「胎児は元気」という意味です。でも、検査の時点だけ? 今日は元気でも明日は?と心配になりますが、胎児が元気なのは胎内環境(子宮内環境)がよいということです。妊娠34週頃からは、胎内環境が1日2日で急激に悪くなることはまれなので、その後ほぼ1週間は元気!と考えていいでしょう。

「正常ではない」の意味は…

胎児が元気ではない、つまり弱っているかもしれない、胎内環境も悪化しているかもしれない、という意味です。このような状態を「胎児機能不全」といいます。以前の胎児仮死とは意味が異なり、「仮死状態」ではなく、正常とは言い切れない=異常である可能性がある=悪いと決まったわけではない、ことを示します。また「胎児仮死」という言葉を現在使わないことになっています。胎児機能不全が疑われる場合は、多くは入院して詳しい検査を行い、原因を探します。原因がわかり、治療で改善することもあります。また、悪化した胎内環境にいるよりも外に出してあげたほうがいいと判断した場合は、早急に帝王切開を行います。このように、NSTの大きな特徴は、「判定不明」あるいは、正常と断定できないが異常ともいえない「中間のグレーゾーン」が出やすいことです。判定不明には胎児が眠っていて胎動がほとんどないという場合もあります。判定不明の場合は、日を置いて再検査しますが、以下のような方法で追加検査をすることがあります。

  • VAST:ブーブーという音(胎児振動音刺激試験)で、胎児を刺激して起こします。
  • CST:オキシトシンという薬を使って子宮収縮を起こして胎児心拍を観察する検査です。しかし、これはお産が始まるリスクがあるので、CSTを行うかどうかはケースバイケースです。
  • BPS:超音波検査で、胎児呼吸様運動(呼吸に似た肺の運動)、胎動、筋緊張、羊水量を観察する検査です。

NSTのグラフの見方を教えてください。

横軸は時間を示し、胎児心拍数の変化が1分間ずつ継続して記録されていきます(1分間は記録紙によって1cm幅、3cm幅などがあります)。縦軸は胎児心拍数(bpm)です。通常、ひと目盛りは30bpmで240bpmまで記録できます。グラフの上段に胎児心拍数、下段に子宮収縮が記録されます。妊娠中には子宮収縮はそれほどありませんが、妊娠後半期になると子宮収縮の頻度が多くなります(妊婦はおなかの張りとして感じます)。胎児心拍数と子宮収縮の波形の間に胎動が記録されます。

良好な状態のモニターパターン。
○正常脈:110~160bpm、○頻脈:161bpm以上、○徐脈:109bpm以下

基線細変動(きせんさいへんどう)

状態の良いときの心拍数には細かい変化(ゆらぎ)があります。その心拍数変化(ゆらぎ)を「基線細変動」といいます。胎児の場合、妊娠後半期には6~25bpm(bpmは1分間の心拍数)の変動があるのが正常です。また、胎児は20~40分ごとに寝たり起きたりしていますが、睡眠中は細変動が減ります。

一過性頻脈(いっかせいひんみゃく)

胎児が体を動かすとき(胎動があるとき)、一時的に心拍数が多くなります。これを一過性頻脈といって、一定範囲で出るのが正常です。妊娠中、20分間のNSTをしている間に、心拍数15bpm以上15秒以上の一過性頻脈が2回以上あれば、胎児の状態は良好と判断されます。

一過性徐脈(いっかせいじょみゃく)

一時的に心拍数が減少することをいいます。子宮収縮に伴って出ることが多く、臍帯(さいたい)が圧迫されたときにも出ることがあります。胎児が自分の体で臍帯を子宮壁に押し付けたりしているときです。普通は胎児の姿勢が変わるとすぐに治ります。ときには胎児が酸欠状態に陥る心配もあるため、ほとんどの病院ではお産の時には、分娩監視装置を使って、胎児心拍数モニタリングを行います。

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