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安産・難産に関するジンクスや言い伝えは?

2019.02.28

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あなたは言い伝えやジンクス、縁起かつぎを信じるほうですか? ふだんはそんなものは信じないという人でも、子宮の中に命が宿って、その赤ちゃんが無事に生まれてきてくれることをひたすら願う妊娠中だけは、ちょっと別かもしれません。たわいのない迷信も、なぜか気にかかったりして。でも、これらは医学的に見て、どの程度根拠があるの?産婦人科医、大鷹美子先生にうかがいました。

監修者プロフィール

大鷹美子(おおたかよしこ)先生
豊島病院産婦人科部長

東京生まれ。東京大学医学部保健学科卒業。東京大学医学部医学科卒業。日赤医療センター、NTT東日本関東病院などを経て、現在、東京都保健医療公社豊島病院産婦人科部長。専門は周産期学。出生前診断のカウンセリングにも取り組む。『どうしたの?産後ママのからだ相談室』(赤ちゃんとママ社)、『高齢出産』(主婦の友社)など著書多数。一児の母。
豊島病院ホームページ

やっぱり気になる
安産・難産に関する言い伝え・ジンクス

妊娠・出産にまつわる言い伝えやジンクス、縁起かつぎは驚くほどたくさんあります。それだけ、みんなの関心が高いということでしょう。昔からのものだけでなく、ネット時代の今ならではのものもあり、どんどん広がっているようです。その中にはもちろん、安産・難産に関するものもいろいろあります。

たとえば「骨盤の大きい人は安産になる」とか、「お母さんが安産だったら、娘も安産」などというのは、たいていの人は耳にしたことがあるのではないでしょうか。「ヒップが大きいから安産体型だね!」などとからかわれたことはありませんか? ほかにも、「くるぶしの形がはっきりしている人は安産」ともいわれているようです。

はるか昔にさかのぼれば、「同じ家で、人と、犬、猫のお産が重なると難産になる」という言い伝えもあったようです。犬や猫はお産が軽いので、人間のほうが負けてしまって難産になるのだとか。そのため、犬猫は家の外に出してお産をさせていたとか。しかし、今は、いくら縁起をかつぐ人でも、さすがにこのようなことを信じたりはしないでしょう。

しかし、妊娠すると、周りからも「拭き掃除をすると安産になるよ」とか「小豆を食べると安産になるよ」などとあれこれ言われることも増えて、「それって、本当なの?」と不安になったり落ち込んだりすることもあって、やっぱり気になるものですね。

そもそも、医学的な安産とは? 難産とは?

「安産」「難産」とよく言いますが、そもそも医学的な定義はあるのでしょうか?

大鷹先生

医学的に安産の定義はありません。「難産」はありますよ。一般的には「分娩遷延(ぶんべんせんえん)」、つまり時間のかかりすぎるお産のことをいいます。

初めてのお産の場合、陣痛が1時間に6回以上来るようになってから(分娩第1期)、赤ちゃんが生まれてくるまで24時間以上かかると「分娩遷延」です。また、子宮口が全開10センチまで開いて(分娩第2期)から、2時間以上かかる場合も「分娩第2期遷延」と呼びます。

大鷹先生

安産に医学的な定義がないとはいえ、安産に必要なのは、「いい陣痛がつく」ことです。「いい陣痛」というのは、強く赤ちゃんを押し出す力がある陣痛のことです。最近は微弱陣痛で出産が長引くケースが増えています。

なるほど! 赤ちゃんを外に押し出す力強い陣痛がくれば、お産に長い時間がかかる難産になりにくい。お産に時間がかからないということは、母体にも赤ちゃんにも負担の少ないお産、つまり安産になりやすい、ということなんですね。

運動に関する安産のジンクス:
運動は安産に良い?

「昔の人はお産の直前まで農作業をしたり、薪割り、雑巾がけなどをしたからお産が軽かった」などとよく言われます。ほかにも「和式トイレを使っていたので安産だった」とか「スクワットをするといい」とか、「お相撲の蹲踞(そんきょ)の姿勢をとっていると安産になる」なんて話も、よく聞きます。体を動かすことは、安産とどんな関係があるのでしょうか?

大鷹先生

安産、つまり「いい陣痛がつく」ことと、妊娠中に体を動かすことに、相関関係はありません。

ええーっ! 運動に関する安産のジンクスはたくさんあるというのに、関係ないなんて、そんなー!!!

大鷹先生

運動と安産の関係があるとするなら、運動習慣があったことによって、自分の体力に自信が持てる、ということだと思います。たとえば、妊娠する前から2000m級の山に登っていたので体力はある、とか、マラソンをしていたので持久力がある、とか、マタニティスイミングを始めてから泳げるようになった、とか。自分を信じる「気力」こそが、お産を乗り切る体力につながるのです。

自分を信じる気力、体力が大事なんですね。

大鷹先生

そう、自分の気力、体力に自信がないと、「大変そう・・」という心配する気持ちが強くなるため、緊張によってムダにエネルギーを使ってしまいすぐに疲れてしまって、陣痛も弱くなりがちです。しかし、かといって、お産のために、ふだんやりつけないことを急に始めるのは、かえって事故のもとです。

「いい陣痛が来ない」というときに、階段の昇り降りや、歩きまわることを勧められた、という話をよく聞くのですが、これも安産と関係ないのでしょうか?

大鷹先生

たとえば、前駆陣痛が長引いているというときなど、もしかしたら階段を昇り降りすることで子宮が刺激され、収縮が促されてお産が進む、という可能性はあるかもしれません。しかし、私はそれよりも大きなお腹で転倒をすることのリスクが気になります。

安産のため、だからといって、特別なことはしない。しかし、かといって、動かないで体重増加が著しくなれば、産道に脂肪がついて赤ちゃんが出にくくなってしまう。いったいどうしたら……。

大鷹先生

妊婦さんに限らず運動不足は良くありませんが、お腹が大きくなるとどうしてもゴロゴロしがち。「雑巾がけがいい」「トイレ掃除がいい」といったジンクスは、こまめに家事をして日常的に体を動かしておきましょう、ということなのではないでしょうか。事故を起こさないような環境の中で、適度に体を動かすことが大事なのです。

体に関する安産のジンクス:
骨盤が大きいのは、安産の1つの条件だけど……

体型に関しては、よく「ヒップが張ってる安産体型」「お尻が小さいから難産かも」「背が小さいから難産」などと、言われます。これって、本当なのでしょうか?

大鷹先生

骨盤が大きいのは、安産の1つの条件であるのは事実です。ただ、お尻が大きいから骨盤が大きいとは限りません。脂肪がついているだけかもしれないですから。

骨盤とは、骨産道ともいわれ、骨と骨が組み合わさってできた円筒形のもの。妊娠10ヶ月になると赤ちゃんがこの中に下がってきて、お産になるのですが、安産になる人の骨盤は、赤ちゃんがちゃんと通れる形と広さを備えているのです。

大鷹先生

骨盤の形や広さは人それぞれです。お尻が大きい、いわゆる安産型体型といわれる人の中には骨盤が狭い人もいるし、細いスリムな人でも骨盤の形がよく、十分に広い人もいます。

正確に調べるには、骨盤計測といって、レントゲンを撮って、基準となる骨と骨のあいだのサイズを測るのですが、これはすべての人に行われるわけではありません。妊娠10ヶ月になっているのに、まだ赤ちゃんが骨盤の中に下がってこない、というときなど、骨盤が狭いことが疑われるので、計測を行います。

ただし、たとえ骨盤が狭そうでも、骨盤計測を行わない主義の医師もいます。胎児へのX線の被曝を避けるためです。赤ちゃんがいよいよ通れない、となったときに帝王切開をすれば間に合うと考えているからです。

大鷹先生

産婦人科の医師は、パッと体型を見て、この人は大変かもしれない、とおおよそ見当はつくものです。一般的には、低身長の方は骨盤が狭くなりがちなので難産になりやすく、肥満の方も脂肪で産道が狭まっていることが多く、難産になりやすい。もちろん一概には言えないのですが、身長が高めで標準的な体格の方は、安産になりやすい要素が1つあると言えるかもしれません。

「母親が安産なら娘も安産」というのもしかり。母親と娘は骨盤の形が遺伝することはありえるので、多少の根拠はありそうです。

大鷹先生

しかし、安産・難産を決める条件は一つではありません。さまざまな条件が重なって出る結果なので、体型や骨盤の形は安産の根拠にはならないですね。

出産回数に関する安産のジンクス:
難産は初産に多い。
2人目以降で難産になる人は、あまりいない

「くるぶしの形がはっきりしている人は安産」というジンクスを聞くと、いったい、くるぶしとお産のあいだに何の関係があるの? と言いたくなります。しかし、これには意外な根拠が!?

大鷹先生

くるぶしの形がはっきりしているということは、足がむくんでいない、ということを言っているのかもしれませんね。むくみがないということは、安産というよりは、妊娠中の健康状態がよいということではないでしょうか。

「1人目が安産だと2人目も安産になる」という話もよく聞きます。

大鷹先生

そもそも難産になるのは圧倒的に初産の場合ですから、2人目以降が難産になることはあまりないと思っていいでしょう。一般に、経産婦の分娩時間は、初産の半分くらいです。

もちろん、胎盤のできる位置やへその緒の状態などによって赤ちゃんの産まれやすさは変わってきますし、いい陣痛がくるかどうかは年齢(体力)も関係しているので、2人目が難産になる可能性もないとはいえません。

大鷹先生

しかし、すでに出産を経験しているので、メンタルが強くなっていますから、2人目の出産は、難産になりにくいと考えていいと思います。

一度、お産を経験すると、「道がつく」という言い方をされることもあります。2人目が安産になりやすいのは、体とメンタルの両方が関係していそうですね。

食べ物に関する安産のジンクス:
安産のジンクスがある食べ物6選

「これを食べると安産になる!」というジンクスも、あとを絶ちません。

大鷹先生

それは、みんな食べることが大好きだからでしょうね。食べ物で母体が作られ、赤ちゃんの体も作られるからでしょうか。

大鷹先生に、ちまたにあふれる食べ物安産ジンクスを検証していただきました。

【焼肉】
「焼肉を食べた翌日に陣痛が来た!」などの声が多い焼肉。

大鷹先生

お肉(タンパク質)を食べると、みなさん元気が出ますよね。お産に向けて体力をつけるためにはいいでしょうね。でも、直接の因果関係はないと思います。

【栄養ドリンク】
「高価で成分が濃いものほど、いい陣痛がくる」なんて、まことしやかなうわさもある栄養ドリンクですが・・・?

大鷹先生

これも根拠ないでしょう(笑)。栄養ドリンクの成分、カフェインなどは、母体の血液を通じて赤ちゃんに移行します。そして、赤ちゃんの肝臓はあまり強くありません。ですからあまり余分な栄養を蓄積させないほうがいいと思います。「これを赤ちゃんにそのまま飲ませてもいいの?」と考えてみましょう。私は個人的にはあまりおすすめしません。

【イカ・タコ】
「イカやタコを食べると胎盤がくっついてはがれにくくなる」というジンクスはどうでしょう?

大鷹先生

ないない(笑)。ただ、お刺身を食べるときって、お醤油をたくさん使いますよね? 塩分をたくさん摂ると妊娠高血圧症候群などのリスクが高まります。食べ方と量に十分注意しましょう。

【辛い食べ物】
いい陣痛がつくと、巷でウワサの辛い食べ物。先生の見解は・・・?

大鷹先生

発汗作用がある、代謝があがるなど、体にとっていいことはあるでしょうが、安産との関連性はないでしょう。

【生魚・生肉】
「生ものは赤ちゃんによくない」というジンクスには、先生は△をつけています。

大鷹先生

生ものが直接赤ちゃんに影響することはないのですが、母体が食中毒になり、脱水症状や高体温になってしまうと、その影響は胎児にとって大きいです。感染のリスクが高い生ものは、あまり食べ過ぎないようにしたいですね。

【ハーブティ】
ラズベリーリーフティなど、子宮収縮を促す作用のあるハーブを使ったお茶はいくつか知られています。

大鷹先生

これは唯一、信ぴょう性がありそうな……。ハーブの薬理効果は、今、医学でも研究が進んでいます。ただし食べたり飲んだりしたものは結局消化されてしまうのであまり薬理作用は高くないのではないでしょうか?

エッセンシャルオイルをたらす、焚くなど、香りを通じて脳に直接作用するものについては、効果があるものもあるのでは? というのが大鷹先生の見解です。

安産と食べ物については、ほぼすべて因果関係がないというのが先生の見解です。

大鷹先生

食べ物で注意したいのは、ブルーチーズや生ハムです。リステリア菌が多いので、避けたほうがいいです。

リステリア菌は、胎児死亡例も報告されている怖い菌。胎盤を好み、母体の腸のじゅう毛から血液中に入って、胎盤に感染し、胎児を死亡させることもあるのです。

大鷹先生

母体は、ちょっと風邪をひいたくらいの症状しかありません。それだけに怖いのです。妊娠中は、リステリア菌に気を付けてください!

おまじない安産のジンクス:
縁起かつぎには、無事出産への祈りが込められている

古くには、いざお産が始まってからも、さまざまな儀式めいたことが行われていたようです。お米を撒く「散米」もその1つ。生命力が強い米などの穀物には、魔よけや邪気祓い、勢いをつける力があると信じられていたようです。あの源氏物語にも米を撒く出産シーンがあります。

そういえば、西洋では結婚式を挙げて教会から出てくる新郎新婦にライスシャワーを浴びせますが、あれも子孫繁栄・多産の願いが込められているそうです。このように、今に伝えられている縁起かつぎもあるのですね。

医学が発達した現代の日本のお産は、事前にある程度、難産の予測もつき、それに対して対策を講じることもできます。お母さんや赤ちゃんがお産で命を落とすことも、少なくなりました。しかし、医学の恩恵を受けられなかった昔、妊娠・出産はまさしく命がけ。今でも、もし医学的処置が行われなかったら、妊婦の250人に1人は亡くなるという統計もあります。これが自然のリスクなのです。

お産に対する不安や恐れが、今よりもはるかに大きかったからこそ、祈りにも似た気持ちで、さまざまな言い伝えや俗信が流布されたのでしょう。

性格に関する安産のジンクス:
「楽天家」「ポジティブ思考」が安産を引き寄せる!?

古くからある安産・難産の言い伝えには、あまり信憑性がありませんでしたが、では、科学的に安産を決めるいちばん大きな要素とは何なのでしょう。

大鷹先生

それは年齢です。生物学的には23歳までにお産をすれば、たいていは安産です。多くのお産を見てきた私の経験からも言えることです。

多少骨盤が狭くても、赤ちゃんが大きくても、20代前半までならば、何も手助けしなくてもスルリと生まれてくるそう。骨盤の骨の結合も柔軟なので、赤ちゃんが通るときにうまく適応できるのです。陣痛促進剤を使うことも、ほとんど必要ありません。

若くて体力があるし、それに、いい意味で若さゆえの"怖いもの知らず"なところも、お産に関していえば、よい方向に働くのだそうです。

最近は30代、40代での出産も増えています。「23歳までに産むのは、ちょっと手遅れだったなあ……」とがっかりしている人もいるかもしれません。でも、大鷹先生の見るところ、都会では、23歳くらいまでに産む人は、全体の10~15%くらい。いまや少数派なのです。

年齢に関係なく、安産のためにできることはないでしょうか?

大鷹先生

お産は楽天的な人のほうがうまくいきます。あまり悲壮感を持つと、それだけで疲れてしまって、お産で力を発揮できなくなるのです。

たとえば、同じ一晩を過ごすにしても、パーティーで楽しく騒ぐのは平気だけど、山で遭難して夜を明かすのは疲れるでしょう。それと同じで、お産も気持ちの持ちようでずいぶん違います。やるべきことをやったら、あとは何とかなる、きっとうまく行く、とポジティブに考えられる人のほうがお産もうまくいくそう。

心配性で、不安と緊張が高まり、病院へ着いたころにはすでにへとへとに疲れ切っている人もいて、そうなると陣痛も弱くなるし、肝心なときに力が出なくて、うまくいきめないのだそうです。

「気持ちを楽観的に持つ」。これなら、体力に自信がなくても、年齢が少しばかり上でも、気持ちしだいでできそうですね。

終わりに:
ジンクスも上手に味方につけて、めざせ!安産

安産にまつわる数々のジンクスたち。残念ながら(!?)医学的な根拠はほとんどないようでしたが、そのすべては「すこやかな出産」への祈りにつながっています。

大切なのは、バランス。無理をして運動しすぎたり、何かひとつの食品だけを大量にとるなど、日常生活を乱すほどの「苦行」にならないように。ネット上に無尽蔵にあふれる情報に振り回されることなく、お産までの日々を楽しんで過ごしたいですね!

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