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双子の妊娠生活と出産・育児

2008.08.06

おなかに二人の赤ちゃんがいるとわかったとき、びっくり!そして嬉しい!! 早く赤ちゃんに会いたい気持ちが募ります。その反面、リスクのことが気になるし、周りに双子の先輩ママもほとんどいないし、不安もジワジワ押し寄せてきて…。双子の妊娠・出産って、実際のところどうなの?? 双子ママが妊娠、育児を乗り切る極意とは!?今回は、各地からハイリスクのママと子どもたち受け入れている『国立成育医療センター』で、数多くの双子ちゃんの妊娠・出産を担当している産科医長の久保隆彦先生にお話を伺いました。

監修

久保隆彦先生

国立成育医療センター産科医長。医学博士。岡山大学医学部卒業後、聖隷浜松病院NICU、高知医科大学助教授、国立大蔵病院産科医長を経て、現職。専門は周産期医学、胎児・新生児学、周産期ME。妊娠リスクスコアを作成し、全国に広める。ハイリスク妊娠としての多胎、前置胎盤、合併症妊婦などを担当し、妊産婦の心のケアや、薬・ウィルスの妊娠への影響についても取り組んでいる。本音で話せる熱血医師。

今、日本で双子が
増えている

双子には、一つの卵子が分裂の途中で分かれて二人になった「一卵性の双子」と、二つの卵子が排卵されて両方とも受精して育った「二卵性の双子」の2タイプあります。

一卵性の双子が生まれる確率は、どの人種もほとんど変わらず、お産1000件中、3~5件ほど。

一方、二卵性の双子が自然に生まれる率は、人種によって大きな差があります。1000件のお産のうち、黒人は約50件、白人は12件ぐらい。日本人はというと、たったの4件! アジア系の人々が自然に二卵性の双子を授かる率は、本来はとても低いのです。

ところが、今、日本で双子のお産がぐんぐん増えている。日本産科婦人科学会の調べによると、1984年からの10年間で双子の発生頻度は1.2倍。今ではさらに増えていることが予想されています。

この双子の増加は、不妊治療で排卵誘発剤を使用するので同時に何個も排卵すること、体外受精で妊娠率を高めるために受精卵を2個、3個と子宮に戻していることなどが原因。また、受精卵をより成長させてから子宮に戻す「胚盤胞移植(はいばんほういしょく)」は、妊娠率が高まるためよく行われるようになりましたが、一卵性の双子になる確率も高いことが明らかになっています。

双子のリスクって、
どんなもの?

双子ちゃんのほほ笑ましい姿を見て「双子がほしい!」と思う人は多いかもしれません。でも、双子妊娠は医学的リスクがとても高いのです。

人間は、基本的には1人の赤ちゃんを妊娠して育てるようにできているので、二人の赤ちゃんをおなかの中で育てるのはとても負担が大きい。1+1=2倍のリスクではなく、単胎妊娠とくらべて、双子の母子のリスクは3倍以上とも言われているんです。

後で詳しく述べますが、二絨毛膜二羊膜性の双子で3倍、一絨毛膜二羊膜性なら10倍、一絨毛膜一羊膜性ならなんと100倍もリスクは高くなります。

例えば、妊娠高血圧症候群や早産、帝王切開や吸引・鉗子分娩になったり、産後に大量出血して輸血したり、子宮を摘出しなければならないケースもあります。また、2人の胎児の成長に大きな差が出てしまったり、未熟児・低出生体重で生まれたり、脳性マヒなどの障がいが残ってしまったり、最悪の事態が起こってしまうことも…。

このようにリスクが高い双子以上の多胎妊娠を、体外受精で少しでも増やさないようにしようと、日本産科婦人科学会は2008年4月に「体外受精で子宮に戻す受精卵は原則一個に」と提言しました。

双子とわかったら、それだけリスクが高い、ということをまず自覚して、おなかの二つの生命のために、日頃から無理しないように気をつけましょう。心配な兆候があったらすぐに病院に行くこと。そして、いざというときの入院や手術も覚悟するなど、ぜひとも準備をしてほしいのです。

膜性診断でリスクを
見極める

双子の妊娠・出産リスクの程度を見分けるために重要なのが、「膜性診断」。細かいところを省いてわかりやすくお話すると、赤ちゃんを包んでいる薄い膜の状態をエコーで診て、胎盤が一つしかないのか、それとも二つあるのか、赤ちゃんは一緒の部屋にいるのか、別々の部屋にいるのかを確認するのです。

胎盤が一つだと、1人分の生命維持装置を二人で共有していることになります。栄養が一方の赤ちゃんに偏って成長に差が出てしまったり、片方の赤ちゃんに一気に血液が流れ込み、もう一方の赤ちゃんへの血流が少なくなって、最悪の事態がおこることもあります。(「双胎間輸血症候群(そうたいかんゆけつしょうこうぐん・TTTS)」)。

また、赤ちゃんが一つの部屋に一緒にいた場合は、へその緒が絡まってしまう危険性もあります。

医師はこういったリスクを念頭に置いて、妊娠管理に役立てているので、膜性診断は必ず受けましょう。診断ができるのは妊娠12週ぐらいまで。それ以降になると、診断できなくなってしまうので、健診の日程は必ず守ってください。

妊婦健診は、
単胎よりも頻繁に

おなかの赤ちゃんが双子とわかった場合、出産する産院はリスクに応じて選びます。例えば、助産院では医療行為を一切行えないため、双子の出産は無理です。

胎盤が二つあって、部屋もわかれている「二絨毛膜二羊膜」の場合、複数の医師が待機しているような地域の中核病院を選びましょう。個人で開業しているクリニック・医院でも、すぐに緊急帝王切開の体制を整えられるところなら、可能性はあります。

胎盤が一つしかない「一絨毛膜二羊膜」「一絨毛膜一羊膜」は、リスクがとても高いため、NICUが併設されている周産期母子医療センターなど高度な病院を選ぶべきでしょう。

健診では、特に双子の体重差や羊水量、子宮頚管の長さをチェックします。単胎妊娠の場合、健診は初期は4週間に1回、中期は2週に1回、後期は1週間に1回というスケジュールで進みますが、双子の場合は、どんなに間をあけたとしても2週間、少しでも心配な兆候が見られたときは1週間ごとに健診します。早くから入院して管理することもよくあります。

医師に止められていなければ、基本的には普段通りの生活をしても大丈夫。でも、マタニティエアロビクスやマタニティスイミングなどのスポーツは、早産のリスクを考えて許可されません。

膜性のチェックポイント

・絨毛膜の数=胎盤の数(例外もある)
・羊膜の数=赤ちゃんの部屋の数

二絨毛膜二羊膜
(にじゅうもうまくにようまく・DD)絨毛膜も羊膜も、二つずつ。つまり、胎盤が二つあって、部屋もわかれているということ。栄養や酸素はそれぞれに供給され、お互いの臍の緒が絡まる心配もなし。妊娠中のリスクは比較的少なめ。(例外として、絨毛膜が二つでも胎盤が一つになることも)二卵性の双子は必ず二絨毛膜二羊膜、一卵性でも二絨毛膜二羊膜になる。

一絨毛膜二羊膜
(いちじゅうもうまくにようまく・MD)絨毛膜は一つで、羊膜は二つ。つまり、2人の赤ちゃんが一つの胎盤を共有していて、部屋はそれぞれわかれている。栄養や酸素がどちらかに偏ってしまう双胎間輸血症候群(TTTS)のリスクがあるが、互いの臍の緒が絡まる心配はなし。一絨毛膜二羊膜は、一卵性の双子。

一絨毛膜一羊膜
(いちじゅうもうまくいちようまく・MM)絨毛膜は一つで、羊膜も一つ。つまり、2人の赤ちゃんが一つの胎盤を共有していて、一緒の部屋にいる。栄養や酸素がどちらか一方に偏ってしまったり、互いの臍の緒が絡まってしまう可能性が。もっともリスクが高い膜性。一絨毛膜一羊膜は一卵性の双子。

ベストな出産時期は、
妊娠36~37週!

双子の出産方法については、病院や医師によって方針がかなり違います。私は、胎盤が一つしかない「一絨毛膜二羊膜」「一絨毛膜一羊膜」の場合は必ず帝王切開。胎盤が二つある「二絨毛膜二羊膜」も基本は帝王切開ですが、赤ちゃんの胎位の条件が合って、出産に自信のある経産婦さんには「経膣分娩の可能性もあります」と伝えています。

双子の分娩時期ですが、単胎妊娠の場合、39~40週に産むことがお母さんと赤ちゃんのリスクが最も低く理想的ですが、双子の場合、妊娠週数が進むにつれておなかの中で赤ちゃんが突然亡くなってしまう例が増えてくるのです。データの上からも、一番赤ちゃんのリスクの少ない36~37週頃に産ませたい。計画的に分娩を行なうために帝王切開になりやすいのです。

また、二番目に産まれる赤ちゃんの健康を守るため。最初に産まれてくる赤ちゃんは、帝王切開でも経膣分娩でも大きな差はありませんが、二人目の赤ちゃんは経膣分娩の場合、生まれるまでに時間がかかった場合には状態が悪いというデータがあります。あとから出てくるので、生まれるまで時間がかかり、酸欠になりやすいのです。

双子の分娩方法については、かかりつけの医師とよく相談しておきましょう。

今のうちに、
助っ人を確保しよう

双子ママの場合、いつも通りに健診に行ったら、その場で即入院!ということもよくあります。いざというとき、家事の引き継ぎはどうするのか、上の子がいる場合は誰が面倒を見るのか等、 妊娠初期からシミュレーションをしてください。

産後も、ママが1人きりで、家事も育児もやろうとしないこと。ムリして追い詰められて、お母さんが疲れ果ててマタニティーブルーになったり、ストレスを赤ちゃんに発散してしまうことがあります。それだけ、双子の育児は過酷なんです。パパの助けは必要不可欠で、さらに実母や義母、きょうだいなど、とにかく周りの人に手伝いに来てもらうようお願いしておきましょう。

家族の助けが期待できない場合、最初の数ヶ月の出費は仕方がないと覚悟して、ヘルパーさんを雇うことも考えて。双子ママに産後ヘルパーの派遣料金を優遇している自治体もあるし、「ファミリーサポートセンター」などで手伝ってくれる人を探すこともできます。

妊娠中からツインサークルに入ることもおすすめしています。双子用ベビーカーやベッドなどのお下がりを譲ってもらえることもあるし、先輩ママたちの妊娠生活や産後の経験談を聞いて、勇気づけられたり、参考になることはとても多いと思います。地域の子育て支援センターや役所の母子保健課などに問い合わせてみてください。

しばらくは育児と家事との悪戦苦闘の日々が続きますが、2歳を過ぎる頃になると、双子同士で遊べるようになり、やがて親の手から離れていきます。双子の赤ちゃんの愛らしい姿をしっかり受け止めて、子育てを楽しんでください。

双子ママ、三つ子ママの妊娠生活 ここがポイント!

  • 12週ごろまでに膜性診断
  • 医師の指示を守って、こまめに健診
  • 日頃から、入院準備をしておこう
  • 産後の助っ人は早めに確保
  • 多胎サークルにもアプローチ
  • 心配しすぎず、明るく楽しく過ごそう

取材協力・監修/久保隆彦先生(国立成育医療センター産婦人科医長)

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