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胎児のトラブルをおなかの中で治療!?【産科最新医療】

2006.04.05

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赤ちゃんが持つトラブルを、おなかの中にいるうちに治療する――信じられないことですが、医学の急速な進歩によって数年前まで不可能だったことが可能になっています。
「胎児治療」と呼ばれるこの治療は、双子の赤ちゃんの一方がうまく成長できなかったり、赤ちゃんの胸に水がたまってしまったりといった妊娠中のトラブルを、赤ちゃんが生まれる前に治すためのもの。赤ちゃんは、おなかの中にいたまま手術を受けることができるんです。
今回は、ママと赤ちゃんを守るお産医療の最前線『国立成育医療センター』で、「胎児治療」について聞いてきました!

監修

北川道弘先生/きたがわみちひろ

『国立成育医療センター』周産期診療部 部長。東京慈恵会医科大学客員教授。東京慈恵会医科大学卒。米国留学後、国立大蔵病院産婦人科医長を経て、現在に至る。「他の施設では管理の難しい妊婦さんをここで受け入れています」

「子どもの国」のように
明るい高度専門医療病院

東京・世田谷の閑静な住宅地に、『国立成育医療センター』はあります。ゆったりとした曲線美のモダンな建物、まわりには芝生が植えられ、一見すると展示場かコンサートホールのような感じ。エントランスから中に入ると、これまた「ここは病院?」と疑いたくなるような広々としたロビー。大きな病院というと、入口付近には長椅子がズラーッと並んでいて、会計や薬の順番を待つ人でごった返しているイメージがありますが、ここは予約制ということもあって、人ごみはありません。吹き抜けの高い天井を突き抜けるシースルーのエレベーター、ロビーをぐるっと囲むスペースには、飛行機の模型や機関車など、さまざまオブジェが飾られていて、まるで「子どもの国」といった感じです。

センター内を案内してくれたのは、周産期診療部部長の北川道弘先生です。

「ここは、全国に6ヵ所ある国立の高度専門医療センターのひとつです。診療科や年齢の枠を越えて、赤ちゃんが成長して思春期を迎え、やがて成人してまた子どもを産むという、ヒトの生殖サイクル全般をトータルでケアしていこうという、新しいコンセプトの病院なんです」。

『国立成育医療センター』の広々としたロビー。まるで美術館にいるような感じ。壁など至るところにオブジェがあり、色彩も明るく楽しい。機関車など子どもが遊べる遊具も充実。

セレブなLDR出産の
バックに、万全の安全体制

病院の中核になっているのが産科です。目指しているのは、「母と児に優しい妊娠分娩管理」。ここでは、医学的に問題なく経膣分娩ができる人は、あこがれのLDR出産ができます。陣痛(Labor)、分娩(Delivery)、回復(Recovery)までを、ひとつの部屋で、同じベッドで行えるのです。LDRは広々とした個室で、必要になるまで無機的な医療用器具はクローゼットの中に、医療用の照明は天井に隠されています。ベッドは、雅子様が使ったのと同じタイプで、そのまま分娩台になります。

アットホームな環境でゆったりとしたお産ができるように考えられていますが、一方でいざというときの突発的な出来事に対応できるような体制も整っています。すべてのお産には産科医、助産師、新生児科医が立ち会い、無痛分娩では麻酔科医も加わるチーム医療が行われます。小さく生まれた赤ちゃんや危険な状態にある赤ちゃんを受け入れる、NICU(新生児集中治療室)のベッド数も15床と都内でトップクラス(新生児科40床)。さらに病院の屋上にはヘリポートも完備。日本全国から緊急を要する妊婦さんや赤ちゃんが搬送されてきます。

「ここには、医学的に問題のない妊婦さんもいますが、もともと持病をかかえている妊婦さんとか、高齢出産でトラブルがあるなど、リスクの高い人を多く受け入れています。とくに、ほかの病院では管理が難しい特殊なトラブルを抱えた患者さんを優先的にしています」(北川先生)。

LDRのベッドは分娩時には分娩台になる。横にあるのは分娩監視モニター。天井からはライトが出てくる。経膣分娩は、年間約1000例、1ヶ月平均85例ほど。LDRは6室。

ここは産科専用の手術室。すぐ横にインファントウォーマーが準備され、帝王切開で出された赤ちゃんのケアがすぐできるようになっている。このときは双子の赤ちゃんが生まれる直前だったので、2人分がスタンバイ。

監修

左合治彦先生/
さごうはるひこ

『国立成育医療センター』周産期診療部 胎児診療科医長。
東京慈恵会医科大学卒。米国留学、慈恵会医科大学診療医長、国立大蔵病院婦人科医長を経て、現在に至る。「胎児治療はここ数年で急速に進歩してきました。でも、まだ始まったばかりです」

胎児治療で、
双子の赤ちゃんの命を救う

ほかの病院ではできない治療――。赤ちゃんのトラブルを、生まれてからではなく、おなかの中にいるうちに治しておこうという「胎児治療」についても、ほかではなかなかできない高度な技術を持っています。

たとえば、「双胎間輸血症候群」という双子の赤ちゃんのトラブルについて。今度は、胎児診断・治療の第一人者、胎児診療科医長の左合治彦先生が話してくれます。

「胎盤が1人に1個ずつあれば、それぞれの赤ちゃんに栄養や酸素がうまく運ばれるのですが、1つの胎盤を2人で共有していることがあるんですね。その場合、胎盤の領域も2人でだいたい分け合って決まっているんですが、ときどき双方の血流に不均衡をきたすことがあるんです。すると、羊水の量が極端に違う、赤ちゃんの成長に差が出て一方の成長が悪くなる、また早産を起こしたりして赤ちゃんの具合が大変悪くなる、最悪の場合は亡くなったりする、といったことが起きてくるのです」

以前は、増えすぎた羊水を抜くなどの対症療法しかできなかったのですが、ここ数年、胎児鏡というカメラでのぞきながら手術する方法が開発されてきました。胎児鏡の大きさは直径わずか2mm。レーザーのファイバーを入れても4mm。これをママのおなかに小さな穴をあけて子宮内に通して、血流の不均衡を起こしている胎盤の血管をレーザーで焼いて凝固させるのです。

「つまり、血液の流れを断ち切って、胎盤の領域を別々にしてあげるんです」(左合治彦先生)。

この治療は、日本全国でもまだ100例あまり。国立成育医療センターでは39例が行われています。

双胎間輸血症候群は、胎盤の真ん中に血管が何本か通っていて、血液の流れがどちらか一方に偏ってしまうので、赤ちゃんの成長に差が出てしまう。

双胎間輸血症候群レーザー手術前(左)と手術後(右)。手術後は、血管の流れが消えている。これで血液が均等にそれぞれの赤ちゃんに流れていく。

胎児ちゃんの胸にたまった
水を抜く手術も

もうひとつ、ここで多く行われているのが、「シャント術」です。おなかの赤ちゃんの胸に水がたまり、肺や心臓が圧迫されて、このままだと最悪の場合、亡くなってしまうというようなケースに対して、ママのおなかの上から、超音波で中を見ながら小さな管を入れ、胸にたまった水を羊水の中に導き出すのです。

こうしたトラブルが早くから発見され、胎児のうちに治療できるようになったのは、「超音波診断技術が進歩したから」と左合先生はいいます。いわゆるエコーの発達によって、胎児ちゃんの各器官の発達具合や血液の流れ方までがわかるようになり、それにつれて治療技術も開発されてきたのです。

「超音波がここまで発達する前は、直接、胎児鏡カメラを入れて診断していたんですね。昔のカメラは直径が1cmぐらいあったので、破水するなどのリスクが高かったんです。80年代になって超音波診断が発達してくると、この胎児鏡は使われなくなったんですが、90年代になって非常に小さいカメラができて、再び、これを使うようになり、いろいろな手術法も開発されてきました。その代表的なものがレーザー手術なんです」(左合先生)

まだまだ始まったばかりの胎児治療。

「超音波診断でトラブルが見つかっても、すべてを治療できるわけではありません。また胎児治療は、生まれてから行うよりも、胎児の間に行ったほうがいい、というときに行うものですが、しかし、どちらともいえないケースもあって、その判断が難しいところなのです」(左合先生)。

「とにかく元気で生まれて欲しい」という全ての親の願いを確実なものにするため、さまざまな取り組みが24時間続けられています。

取材協力/国立成育医療センター
監修/北川道弘先生(国立成育医療センター)
左合治彦先生(国立成育医療センター)

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