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麻酔科医のお仕事【お産プロフェショナル名鑑】

2012.01.04

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麻酔は、抗生物質や消毒薬とならんで「現代医学の偉大な発見のひとつ」といわれています。麻酔のおかげで、私たちは安心して手術や治療を受けられるようになりました。
お産の現場でも、帝王切開や無痛分娩などで麻酔は大活躍。ところで、その麻酔を扱うのは、産科の先生? それとも外科の先生なのでしょうか?
出産のときに麻酔を行うのは産婦人科医のこともありますが、実は、麻酔には専門医もいます。今回は、「麻酔科医」の仕事や、出産時の麻酔についてご紹介します。

この記事の監修

林玲子先生

はやし・れいこ/日本麻酔科学会専門医・指導医、医学博士。1992年福岡大学医学部卒業、広島大学医学部麻酔蘇生学教室へ入局し、1999年米国フィラデルフィアへ留学(Hahnemann University pain research)。さらにペンシルバニア大学にて産科麻酔学を学ぶ。帰国後、2002年に国立成育医療センター麻酔集中治療科で産科麻酔を担当、田中ウイメンズクリニック副院長を経て2012年1月、胎児診断と無痛分娩の『東京マザーズクリニック』を開院。副院長をつとめる。

東京マザーズクリニック:
http://mothers-clinic.jp/

麻酔科医データ

資格の名前 医師 (麻酔科専門医)
資格の種類 医師は国家資格
(麻酔科専門医は日本麻酔科学会による認定資格)
専門医資格取得
までの道のり
国家資格である医師免許取得後、所定の施設で2年以上の研修経験を積むか、全身麻酔300例以上の実施経験を積むと厚生労働省認可の「標榜医」の申請ができる。
さらに標榜医として2年以上の実績を積み、日本麻酔科学会の専門医試験に合格すると「麻酔科専門医」の資格が得られる。
麻酔科専門医
の数
7,067人(平成20年/厚生労働省 医療施設従事医師・歯科医師数の年次推移より)
主な団体 日本産科麻酔学会http://www.jsoap.com/
公益社団法人 日本麻酔科学会http://www.anesth.or.jp/

産科、外科、小児科、
集中治療室……。
院内を飛び回る
麻酔科医

麻酔科医は、その名のとおり麻酔のプロ! 産科はもちろんのこと、院内のあらゆる科で活躍しています。手術の痛みの感覚を失くしたり、傷口や患部の痛みをコントロールしたり。麻酔をかけるだけでなく、麻酔で眠っている患者の容態を監視したり、麻酔からさめるときの全身管理も担当します。急変時の蘇生術にも長けているため“手術室の用心棒”と称されることも。

ペインクリニックやホスピスなど、痛みをやわらげることを主とする施設でも中心的な役割をはたします。出産の場面では、帝王切開や無痛分娩などの麻酔をかけるときに活躍しています。

産婦人科や
個人クリニックにも
麻酔科医はいるの?

麻酔は、必ずしも麻酔の専門医でないとできない、ということではありません。ケガをした傷口をふさぐために、外科の医師がその場で局部麻酔をかけて縫ったり、身近なところでは、歯の治療にも頻繁に局部麻酔が使われます。

麻酔は国家資格である医師の免許を持っていれば、どの科の医師が行ってもよいのです。経験を積んだ産婦人科医が、帝王切開や無痛分娩の麻酔を行っていることも多いでしょう。

しかし、高度な手技やむずかしい麻酔術が必要になるときは、やはり専門の技術や経験を積んで資格を取得した麻酔科専門医が登場します。しかし麻酔科専門医は現在、全国で7000人前後。他科の医師に比較すると非常に少なく、さらに産科を専門とする麻酔科医ともなると、とても希少な存在です。

いろいろあります、
産科での麻酔科医の
主なお仕事

安全な出産を導くため、また痛くない出産のために、さまざまな場面で麻酔が行われます。

予定帝王切開で脊椎麻酔をする

妊娠中の健診で経膣分娩が難しいと診断された場合に行われる。背骨の中の硬膜(こうまく)と脊髄(せきずい)の間にある空間(脊髄くも膜下腔)に麻酔薬を入れ、お腹から下を麻酔。意識は保ったまま痛みだけが遮断され、切開など手術の痛みが脳に伝わるのをブロックする。

緊急帝王切開で全身麻酔をする

自然分娩の途中で母子にトラブルが生じたときに、急きょ行われる。全身麻酔は点滴投与やガス麻酔薬で、麻酔薬を脳に作用させて意識をなくし、痛みの感覚をなくすもの。母親が眠っている間に手術が行われ、麻酔科医は手術中の呼吸管理や術後の覚醒管理も行う。

無痛分娩で硬膜外麻酔をする

背骨の中にある神経を包む硬膜(こうまく)の外にある空間に、カテーテル(細い管)を挿入してそこから麻酔薬を入れ、陣痛や分娩の痛みだけを遮断。意識はそのままに、無痛状態での経膣分娩を導く。

そのほか、痛みをやわらげる麻酔をする

  • 硬膜外麻酔や脊椎麻酔で、カテーテルの針を背骨に刺す際の痛みを取り除く。
  • 会陰切開の痛みを取り除く。
  • 無痛分娩などでラミナリア(子宮口を広げるために使う器具)挿入時の痛みを取り除く。
  • 不妊治療の採卵の痛みを取り除く(全身麻酔)。

帝王切開のときの
麻酔は、局部麻酔?
全身麻酔?

出産でもっとも麻酔が身近になる場面といえば、やっぱり帝王切開。あらかじめ手術日が決まっている予定帝王切開や、緊急帝王切開でも比較的緊急度が低い場合は、背中から麻酔薬を入れる局部麻酔が行われます。お腹から下の痛みだけをブロックするため、赤ちゃんの産声もしっかりと聞くことができます。

帝王切開で使われる局部麻酔には「脊椎麻酔(せきついますい)」と「硬膜外麻酔(こうまくがいますい)」があります(前項参照)。脊椎麻酔は硬膜外麻酔と比べて麻酔の効果が強く、短時間で効果を得られますが、効果がなくなるのも早いため、手術後の痛みをやわらげるためには使用できません。そのため、硬膜外麻酔を併用して鎮痛を行う医院もあります。

背中からカテーテルを入れる時間もない、緊急を要する場合は全身麻酔。このとき使う点滴やガス麻酔は効きが早く、一刻を争う場合にすぐに手術に移れるからです。

無痛分娩の先駆者は
ヴィクトリア女王!

麻酔誕生の歴史は古く、古代ギリシア時代。当時から鎮痛・催眠作用のある草木、ガスなどが手術などに使われていました。全身麻酔を使った手術を世界ではじめて成功させたのは、なんと日本人。1804年の江戸時代に、華岡青洲(はなおかせいしゅう)が、自ら発明した全身麻酔薬「通仙散(つうせんさん)」を使って乳がん手術を成功させました。

無痛分娩が最初に行われたのは、1800年代中ごろ。陣痛の痛みを逃すため、ガス麻酔薬による全身麻酔がごくわずかに使われはじめました。しかし、キリスト教圏において、出産の痛みはアダムとイブが神から与えられた罰であり、それを取り除くのは神への冒涜(ぼうとく)といわれて非難されました。そんな時代を変えたのが、1853年、イギリスのヴィクトリア女王。彼女がクロロホルム麻酔で出産したことをきっかけに、教会が無痛分娩を認め、ヨーロッパで無痛分娩が広まっていきます。

日本ではまだまだ低い、
無痛分娩の普及率

欧米での無痛分娩の普及率は高く、特にフランスは高く74%の妊婦が無痛分娩を選択しています。一方、日本ではまだ無痛分娩に対応している施設が少なく、開業医にいたっては無痛分娩率が2.6%と、かなり”レア”な存在。(「全国の分娩取り扱い施設における麻酔科診療実態調査」より)。しかし認知度はとても高く、需要も高まっています。

医療レベルの高い日本で、無痛分娩の普及率が低い理由に、「痛みに耐えてこそのお産」という考え方が根強いという文化的背景があげられます。妊婦本人が無痛にすることをうしろめたく感じたり、周囲が反対することも。また、専門医が少ないことも挙げられています。

無痛分娩、
メリットとリスクを
知っておこう!

つらい陣痛の痛みをやわらげる無痛分娩。しかし麻酔は医療行為なので、当然のことながらメリットもリスクもあります。無痛分娩を選択する場合は、事前にしっかり理解しておきましょう。

硬膜外麻酔のメリット

  • 痛みへの恐怖感や精神的ストレスも軽減され、産後の回復が早い。
  • 背中にカテーテルを入れているため、万が一緊急帝王切開をすることになっても切り替えがスムーズ。
  • 陣痛の痛みで血圧が上がるのを防ぐことができ、心臓に疾患のある母体への負担を減らせる。
  • 麻酔によって胎盤の血流が改善されるため、妊娠高血圧症などを合併しているハイリスクな出産にも向いている。

硬膜外麻酔のリスク

  • 硬膜に針を刺したあと、100人に1人ほどの割合で頭痛を生じることがある。
  • いきみが弱くなるため、鉗子分娩や吸引分娩となることがある。
  • 麻酔の効果で血圧が下がるため、血液循環量が減り、赤ちゃんに酸素が届きにくくなることがある。
  • 背骨の間に針を刺すため、血液が固まりにくい人や背骨に異常がある妊婦には使えない。

無痛分娩のこれから…

今回、取材に協力し監修してくださった林玲子先生は、日本では数少ない産科の麻酔専門医。無痛分娩にも精通しています。

ときおり、「お産は痛くなかったけど、麻酔の針を背中に刺すときがすごく痛かった」「副作用の頭痛が長く続いて辛かった」「なぜか麻酔が効かず、普通分娩になってしまった」などの声が聞かれますが、多くは技術的な問題で解決できるといいます。

麻酔針を痛くないように刺すコツ。カテーテルを狭い硬膜外という場所にきちんと納める技術。いきむ感覚はそのままに痛みだけをブロックする薬の入れ方・・・。それぞれに産科麻酔ならではの繊細なテクニックがあるといいます。

「無痛分娩の麻酔は、いろいろある麻酔の中ではそれほど難しい技術ではありません。しかし、医療行為には常に熟練や技術の向上が求められています。無痛分娩のニーズは高まっていますが、専門医が少なく、医学部での授業が一部の大学で始まったばかり、というのが現状ですから、まだまだこれからの分野だといえるでしょう」。

監修/『東京マザーズクリニック』副院長 麻酔科医 林玲子先生

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