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赤ちゃんを守る羊水の重要な役割

2008.09.03

おなかの赤ちゃんのことはいつも気になっているけれど、その赤ちゃんを育てる「羊水」のことって、実はよく知らないもの。でも、羊水は赤ちゃんにとって環境のすべてであり、私たちにとっての地球環境とも言える大切な存在なのです。もし、この羊水が多すぎたり少なすぎたりといった異常が見られたら、赤ちゃんの発育に影響してしまいます。
今回は、東京女子医科大学産婦人科教授・松田義雄先生を訪ね、羊水の働きや、大切な羊水を健康な状態に保つためにどのようなことに気を付けるべきかを伺ってきました。

監修

松田義雄先生

東京女子医科大学産婦人科教授、母子総合医療センター母体・胎児科長。専門は周産期医学。鹿児島大学医学部卒業。鹿児島市立病院産婦人科、東北大学医学部麻酔科を経て、平成元年から2年間、カナダ西オンタリオ大学医学部生理学産婦人科に招聘研究員、客員講師として留学。『新女性医学大系』『新米ママの妊娠・出産の?に答える本』など、著書多数。

羊水はクッション、
トレーニング場

「羊水は赤ちゃんにとってどういうもの?」という問いに、ひと言で答えるなら、「赤ちゃんを守り、育てる海」だといえるでしょう。

よく、「生命の源は海」といわれますが、妊娠中のお母さんの子宮を満たす羊水は、まさに海のようなもの。羊水は赤ちゃんにとって、なくてはならない生育環境です。

羊水があることで、胎児と子宮の壁との間には空間ができます。この羊水で満たされた空間が、じつはとても大切な役割を果たしています。

一つには、クッションの役目。お母さんが転んだり、お腹に何かがぶつかったときに、胎児に直接、衝撃が伝わらず、胎児を守ることができます。

二つめは、この羊水の空間で、胎児は自由に運動して筋肉や骨格を発達させます。手足を曲げたり、伸ばしたり、体を回転させたり……。羊水という運動場、プールで、赤ちゃんはトレーニングをしているのです。

その動きは羊水があることで、お母さんにダイレクトには伝わりにくいようになっていますが、妊娠18~20週頃から、だんだん胎動として感じられるようになっていきます。

赤ちゃんは羊水を飲んで
呼吸の練習をしている!

羊水の持つ、最も肝心な役割は、肺の機能を育んでいるということです。

妊娠時期が進むにつれ、胎児は羊水を飲んだり、排出したり…を繰り返すようになります。赤ちゃんは、羊水を肺にまで取り込んで、生まれてからの肺呼吸の練習、準備をしているのです。

飲んだ羊水は、肺や小腸から吸収され、血液に取り込まれたあと、腎臓で再び吸収されて、それが尿となって出ていきます。

妊娠初期の羊水は、主に赤ちゃんを包む羊膜や胎児の皮膚からしみ出してきたものですが、妊娠が進むにつれて、胎児の肺胞液や腎臓からの尿が多くなり、妊娠中期以降になると、羊水の成分のほとんどは赤ちゃんの尿。

「胎児が羊水を飲んでいる」ということは、つまりおしっこを飲んでいるの!? とびっくりするかもしれませんが、尿といっても、老廃物は臍帯(さいたい)を通じて母体へと排出されているので、きれいなもの。羊水は、つねに新しく作られては吸収され、また作られる…を繰り返し、循環しているのです。

分娩時期が近くなると、羊水混濁といって、羊水が濁ることがありますが、これは胎児が便を出すことで起こるもの。胎便そのものを赤ちゃんが誤って飲んでしまうと危険ですが、赤ちゃんの心拍数などに異常がなければ、問題ない場合がほとんどです。

羊水の循環(産生と吸収)

  • 吸収
    肺~小腸~血液中~腎臓へ。
    老廃物は胎盤経由で母体へ。
  • 産生
    尿として排出、胎児皮膚から分泌液として排出、
    肺から細胞液として排出。
    羊膜内面の上皮細胞からも分泌液として産生。

羊水は「量」が大切!

羊水量は、赤ちゃんの成長の段階によって変わっていきます。一般的には、妊娠週数が進むにつれて増えていき、30~35週に約800mlとピークを迎え、40週を過ぎると500ml以下になり減少していきます。

それが多すぎたり、少な過ぎたりするということは、たとえば、赤ちゃんが羊水を飲み、尿として排出する、という仕組みのどこかがおかしくなっているのではないか、と考えられるわけです。

ですから、私たち医師は、お母さんと赤ちゃんの健康状態をみる意味でも、羊水の「量」をチェックしています。

羊水量は、超音波検査で調べます。一般的なのは、「羊水ポケット」と呼ばれる、赤ちゃんと子宮内壁の間でいちばん広い距離から、羊水のおよその量を計算する測定法です。赤ちゃんの命の海である羊水量に異常がないかをチェックする意味でも、妊婦健診は欠かさないようにしましょう。

「羊水が多すぎる」
とどうなるの?

「羊水過多」と診断されるのは、羊水の量が800mlを超えた場合です。

羊水が多すぎる、ということは、赤ちゃんが羊水を飲んで吸収する量よりも、尿として出す量が上回っている、あるいは赤ちゃんが吸収する量が低下しているということなので、原因解明が必要です。

胎児の消化器系や脳神経系の異常なども考えられます。

「お腹がしょっちゅう張る」「呼吸が苦しい」「足のむくみがひどい」などといった症状を伴う場合には、切迫流産・切迫早産の可能性があるので、注意が必要です。このような症状があったら、医師に相談してください。

また、お母さんが糖尿病の場合は、赤ちゃんも高血糖になり尿の量が増える傾向があります。この場合は、根本となる糖尿病が悪化しないように、医師の指導をきちんと守ることが大切になります。

「羊水が少ない」のは、
赤ちゃんのSOS!

「羊水過少」は、羊水量が100ml以下の場合です。

羊水量が少ないということは、赤ちゃんを守るクッションが減って赤ちゃんに負担がかかり、飲む羊水が少なくなって肺の活動も低下する、重大なSOSです。

羊水過少
羊水量が100ml以下

羊水過少の原因の約半数は、妊娠37週以前に起きる前期破水によるものですが、胎児の腎臓や泌尿器系の異常もあります。

このほかに羊水が少なくなる大きな原因として考えられているのは、子宮への血流の減少です。

血流が少なくなると、まず、まず生命の維持に重要な胎児の心臓や脳などに、優先的に血液が流れ、そうではない手足や腎臓へは、後回しになってしまいます。

その結果、腎臓で作られる尿の量も減少し、羊水も減り、胎児も動きにくくなって胎動も減少してしまう、というわけです。

子宮への血流の減少の原因はさまざまですが、たとえば、タバコは血流を悪くすることがわかっています。

体を締め付ける下着や洋服もなるべく避け、医師から許可が出ている人は、適度な運動を心がけましょう。

妊娠中期でも腹囲がやけに小さいとか、お腹を触ったときに赤ちゃんの体が触れるように感じられたら、羊水過少症の可能性も考えられます。念のためすぐ医師にみてもらうことをおすすめします。原因によりますが、基本的には安静と入院によって経過をみて治療が行なわれます。

赤ちゃんの心拍数や血流を計測して、あまりよくない場合は、予定日前でも分娩を急いだり、ときには帝王切開することも。分娩中には、生理食塩水で羊水量を増やし、経過をみることもあります。

大切なのは、
ママ自身が健康的に
過ごすこと

子宮への血流が少なくなると、胎児の胎動が減ってくるといいましたが、実際にエビデンス(科学的根拠)があるのか、というと、じつはまだ明快な答えは出ていません。

というのも、このことに限らず、妊婦や胎児に実験的な治療をするわけにはいかないからです。おなかに赤ちゃんがいる人に、治験に参加してください、といっても、日本ではなかなか参加してくれる人がいないからです。

そのため、エビデンスの多くを海外の論文に頼ってきました。でも、日本の実情に合った治療をしようと、少しずつ研究も進んでいます。

今、お母さんが胎児にいい生育環境である羊水を与えたいと思ったら、まずは、お母さん自身が健康に気をつけることです。妊娠中はとくに、「タバコはダメ」「適度な運動がいい」「ストレスを少なく」「無理をしない」…。これらはどれも昔からよく言われてきた、ごく当たり前のことばかりです。

あまり難しく考えず、自分の体に気を遣って健康的に過ごすことが羊水にとっても赤ちゃんにとってもいいのだと思って、どうぞ、元気な赤ちゃんを産んでください。

取材協力・監修/松田義雄先生(東京女子医科大学産婦人科教授 母子総合医療センター母体・胎児科長)

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