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歯周病が早産の原因に!?

2007.08.01

妊娠中に歯肉炎になったり虫歯が痛み出したりしても、「レントゲンや薬の影響が心配だから」と、おなかの赤ちゃんのために歯の治療をガマンしてしまうママもいるかもしれません。でも、ママのお口のトラブルが、おなかの赤ちゃんに影響している危険性があるのです!
近年に行われた研究では、「歯周病の人は早産のリスクが高い」という結果が出ています。お口のトラブルを抱えやすい妊娠中、ママはどうやって対処したらいいのでしょうか?
今回は、歯周病と早産の関係を研究している『東京医科歯科大学』の和泉雄一先生にお話を伺ってきました!

取材協力・監修

和泉雄一先生

東京医科歯科大学歯学部卒業。同大学歯周病科を経て、鹿児島大学教授。2007年4月より、東京医科歯科大学大学院教授。専門は歯周病学。鹿児島大学にて歯周病と全身疾患との関連について研究を行い、現在は鹿児島、東京、北海道を拠点に研究を進めている。歯周病で失われた組織再生医療にも携わっている。

歯周病の人の
早産リスクは、7.5倍!?

歯周病というと、口の中だけのことだと思っている人が多いかもしれません。ところが、歯周病にかかっていると、糖尿病や肺炎、心筋梗塞などのリスクが高くなる、ということが最近わかってきました。

さらに1996年、アメリカで、「早産の危険因子の1つ」という研究報告が発表されました。

妊娠37週未満で生まれた早産の人や、2500g以下の低出生体重児を出産した人たちを調べてみたら、歯周病の進行している人が大勢いたのです。そのリスクは、歯周病でない人の、なんと7.5倍!

早産の原因にタバコやアルコール、高齢出産などがよく挙げられますが、それらよりもはるかに高い数字なのです。

私も、2003年に鹿児島大学で、鹿児島市立病院産婦人科と協力して歯周病との関係を調査しました。すると、やはり同じような結果が出たのです。早産と切迫早産を合わせると、歯周病の人は、そうでない人の約5倍もリスクが高かったのです。

●歯周病と早産の関係
アメリカの研究結果では、早産、低出生体重児のリスクは、タバコや年齢などの要因よりも歯周病の方が高く、7.5倍も! 初産になると8倍近くになる。
(Offenbacherら:J Periodontol,67:1103-1113,1996改変引用)

炎症によって子宮収縮
物質が分泌される

世界では、いまあちこちで、この研究調査を行っています。中には、「歯周病と早産の関係はなかった」という報告もあります。人種による違いがあるのではないかとか、調査方法が同じでないとか、まだまだ研究途上です。

しかし、歯周病と早産の関連を裏付けるメカニズムも少しずつ解明されてきました。それは、まさに出産のメカニズムと一致するのです。

陣痛は、子宮収縮作用のあるプロスタグランディンという物質の分泌が高まって起きます。このプロスタグランディンの分泌を促すのが、サイトカイン。これは炎症によって増える生理活性物質です。

ですから、細菌などに感染して絨毛膜や羊膜などが炎症を起こすと、やはり早産の原因になります。サイトカインが増えて、その刺激でプロスタグランディンが分泌され、子宮の収縮が起きて早産になるというわけです。

これと同じメカニズムが、歯周病にも当てはまるのです。歯周病は歯周病菌によって炎症を起こしている状態だからです。歯の周りの炎症→サイトカインが増加→プロスタグランディン分泌→子宮の収縮→早産、となるのです。

実際、歯周病の程度が重くなるにつれ、血中のサイトカインが増えていますし、サイトカイン数値の高い人ほど出産時期が早くなっていることもわかっています。

●正期産だった妊婦の歯肉
歯茎がピンク色で炎症がない。正期産で出産した妊婦さんには、このような人が多い。

●切迫早産で、しかも早産だった妊婦の歯肉
歯茎がうっ血し、赤くなり、歯茎の腫れなども見られる歯周病の初期段階。このような妊婦さんの場合、切迫早産、早産のリスクが高くなる。

歯肉炎などの炎症によってサイトカインが産出され、それがプロスタグランディンの分泌を高めて子宮収縮が起こり、早産につながる。

妊娠中期過ぎたら、
歯科検診に行こう!

「おなかの赤ちゃんに栄養をとられて歯がボロボロになった」と、よく聞くことがありますが、実際には、そんなことはありません。

妊娠中はつわりのせいで、歯を磨こうとすると気持ち悪くなって歯ブラシを口に入れられなくなり、虫歯や歯周病になる人が多いのです。

また、歯周病菌にはいろいろな種類があって、女性ホルモン(エストロゲン)が好きな細菌がいます。妊娠中は女性ホルモン値が高くなりますから、歯茎の炎症を起こしやすいのです。

歯周病は20代で重症な人はほとんどいませんが、30代後半を過ぎると、急に罹患率が高くなります。最近は、高齢出産も増えているので注意したいところです。

妊娠中に歯茎が赤く腫れるなどの症状が出たら、ためらわずに歯科医を受診してください。また、予防の観点からも、つわりが落ち着いた中期ごろに、一度、歯科検診を受けておくといいと思います。

産後は育児で手が離せず、いっそう歯科への道が遠のきがちです。妊娠中に歯のケアを済ませておくといいですね。

歯茎の炎症も初期であれば、歯のクリーニング、歯垢を取り除くだけでもかなり効果があります。

その際には、必ず「妊娠中」と伝えてください。

妊娠中期を過ぎれば、胎児へのレントゲンや麻酔のリスクはないと言われていますが、医師もいっそう注意深く対応してくれるでしょう。

1日15分の歯みがきで
歯周病予防

歯周病予防に効果があるのは、なんといっても歯磨き。歯ブラシのポイントは、歯と歯茎の境目。ここを意識して磨きましょう。歯と歯の間は糸や歯間ブラシを使って磨くといいですね。電動歯ブラシもおすすめですが、手できちんと磨けば十分きれいになります。

磨き方は、1ヵ所2本単位で約30回、小刻みにブラッシングしていきます。磨き残しのないように、スタート地点と終点を決めましょう。

たとえば、右奥歯下の外側からスタートしたら前歯外側を通って左奥歯までの外側までを磨く。そこから左奥歯の内側に入り右奥歯へ。今度は右奥歯の上の外側から左奥歯へ、左奥歯内側に入ったら右奥歯内側へ。こうしてていねいに磨くと15~20分かかります。毎食後は無理でも、1日1回、夜にでも時間をとって、しっかり磨いていくようにしましょう。お風呂に入りながら、テレビや雑誌を見ながらなど、時間を作ってください。

出血や歯茎の腫れといった程度の症状なら、きちんと歯磨きをしていけば治ります。歯磨きは、細菌を取り除くだけでなく、歯茎の血流を良くするマッサージ効果もあります。歯周病を治療、予防して、できるだけ早産のリスクを減らしましょう。

2本ずつを磨くつもりで、歯と歯茎の間にブラシを当てて約30回ずつ小刻みに振動させて磨く。順番を決めて、磨き残しがないようにする。

取材協力/東京医科歯科大学 監修/和泉雄一先生(東京医科歯科大学教授)

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