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妊活にかかるお金

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妊活、お金がかかるってホント?

2017.06.19

そろそろ赤ちゃんが欲しいから妊活を始めようと思うけれど、病院に行ったりするとお金がかかるのかしら? それに「不妊治療は、なんだかお金がかかりそう」というイメージを持つ人も多いのでは? そんな不安を解消するために、いったい何にどれくらいお金が必要なのか、ちゃんと知っておきましょう。
現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会「NPO法人Fine」理事長として活躍し、不妊体験者5000人以上と接してきた妊活コーチ・松本亜樹子さんにお話を聞きました。

監修者プロフィール

松本亜樹子

NPO法人Fine 理事長・妊活コーチ
コーチ、人材育成・企業研修講師、フリーアナウンサーとして活躍。自身の不妊体験をきっかけに2004年、NPO法人Fine〜現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会〜を立ち上げる。孤独になりがちな不妊体験者をサポートするとともに、不妊や妊娠に関する正しい知識の啓発や環境向上のための国への要望書の提出など、多方面の活動に取り組む。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。一般社団法人日本支援対話学会理事。

妊活にかかる
いろいろなお金

病院に行かなくても、お金がかかるの?

赤ちゃんが欲しいと思って妊活するとき、お金のことが気になります。すんなり妊娠すれば、かからない気もするのですが・・・。

「そうですね。特に何も意識することなく自然に妊娠したという場合は『まったくお金がかからなかった』という方も多いでしょう。少し気にかかってきて、妊娠を意識したので『自分でタイミングをはかるために基礎体温を計測する婦人体温計を購入したり、排卵日を予測する検査薬や、生理が遅れたら妊娠検査薬を使う』という方もいらっしゃると思います。これくらいだと、数千円の出費というところでしょうか。ただ、何回も検査薬を使うとなると、それなりに出費がかさみますね」と松本さん。

検査、タイミング法、
人工授精・・・
病院でかかるお金は?

検査項目によっては自費負担も

やはり気になるのは、病院を受診したときのお金です。

「そうですね。不妊治療はお金がかかる、というイメージがあると思います。でも、検査だけ、また治療方法によっては、保険がきくものもあるんですよ。まずは、排卵しているか、卵管はちゃんと通っているか、男性の精液の状態など、検査からスタートしますが、これらの多くは保険がききます。ただし、くわしい検査をするために自費での検査もあります。たとえば、卵巣にどれくらいの卵子が残っているかの参考になるAMH(アンチミューラリアンホルモン)検査は、数千円から1万円以上。医療機関によって料金がさまざまです」

医療機関への受診を考えたら、ホームページ等で料金を事前に確認しておくのがよさそうです。

お金の負担が少ない「タイミング法」

実際の治療では、どれくらいのお金がかかるのでしょうか。

「妊娠しにくい原因があればその治療をしながら、まずはタイミング法にトライする場合が多いですね。ホルモン検査や超音波(エコー)検査で排卵日を予測して、夫婦生活(セックス)をするものですが、基本的に保険診療なので、お金の負担は比較的少ないといえます。通院回数や薬の使用、超音波検査の回数などによっても違いますが、1周期の費用は約3000~1万5000円前後が目安かと思います」

1周期というのは、生理(月経)の開始から次の生理の開始前日までの期間のこと。治療はこの生理周期に合わせて行われるのですね。

保険がきかない「人工授精」

タイミング法でなかなか妊娠しないときには、次の治療にいくのですか?

「そうですね。次の段階は人工授精です。男性の精子を女性の子宮の中に注入する治療で、精子の数が少ない場合などに行ないます。これは保険適用外の治療で、NPO法人Fineの調査では、1回あたりの平均金額は1万~5万円が約8割を占めました。これだけ見るとそれほど高くないな、と思われる方が多いかもしれません。ただ、1回で妊娠・出産にこぎつける人は、どちらかといえば少数派で、何度も繰り返すと、そのぶん金額がかさむことになります」

この調査は、NPO法人Fineが2012~2013年にかけて実施した「不妊治療の経済的負担に関するアンケート Part2」で、1,993人が回答し、不妊治療体験者のリアルな声が集まっているとのこと。さらに興味深いデータが並びます。

体外受精、顕微授精・・・
治療によって金額がアップ

「体外受精」は1回あたり30万~50万円

次の段階の治療は、体外受精ですね。精子と卵子を体外で受精させて、受精卵を子宮に戻す治療です。これは時間もお金もかかりそうです。

「はい、そうなんです。1回に複数の卵子を採卵するために、排卵誘発剤の注射を打つなどして、卵子を育てます。また、採卵前に排卵してしまわないように、点鼻スプレーを用いたり、超音波検査で卵胞(卵子の入った袋)を何度もチェックし、採血してホルモンの変化を調べます。いよいよ採卵して、精子との受精を待ち、培養した受精卵を子宮に戻します(胚移植)。その後もホルモン補充の注射を打ったり、薬が処方されます。これらすべて、保険適用外の自費診療です」

Fineの調査では(回答者1,083人)、体外受精の1周期あたりの平均治療費で最も多かったのは「30万~50万円未満」の565人(52.2%)、次は「50万円以上」の291人(26.9%)、3番目は「20万~30万円未満」の157人(14.5%)でした。

治療費に幅があるのは、どうしてですか?

「自由診療ですから、医療機関が金額を決めることになります。施設のある地域や立地、設備、方針や治療方法などによって金額は違います。また体外受精では、排卵誘発剤をいつ、どれくらい投与するか、何回通院するかなどは、人それぞれ違います。そのため、お金のかかり方も大きく違ってくるのです」

「顕微授精」は 1回あたり50万円以上

顕微授精という方法は、さらにお金がかかるようです。

同じくFineの調査で(回答者964人)、顕微授精の1周期あたりの平均治療費で最も多かったのは「50万円以上」431人(44.7%)、次が「30万~50万円未満」の423人(43.9%)と、体外受精よりも高額な分布になりました。これは、顕微鏡を使って卵子に1個の精子を直接注入するという手順が加わるからです。

体外受精・顕微授精は、いまや身近な治療

そこまで治療するのは、なかなか妊娠しない人ですよね?

「確かに、初めて聞くとそう思われるかもしれません。けれど、実は2014年のデータでは、日本で生まれた赤ちゃんの約21人に1人は、体外受精・顕微授精で生まれているんです。つまり、これらの治療は、現在ではそれぐらい身近な治療だということなんです。治療を進めるうえで、人工授精よりも妊娠率が高い体外受精を自ら早めに選択する人も増えてきているそうです」

この現実をふまえると、これからの妊活には、お金のこともしっかり考えておく必要がありそうです。

サプリ、鍼灸、漢方、整体
などにも費用が

体づくりにもお金をかけている

実は、不妊治療のほかにも、妊活にお金を使うことがあるといいます。
Fineの調査では、以下のような結果でした。

Q:不妊治療費以外に、下記のようなものに、1カ月あたりいくらぐらい支払っていますか?(いましたか?)

(回答1,993人、複数回答。金額は1カ月の平均使用金額)

  1. サプリメント・健康食品など 1,231人(61.8%) 7,204円
  2. 鍼灸 556人(27.9%) 17,719円
  3. 漢方薬(保険適用) 490人(24.6%) 4,284円
  4. 漢方薬(保険適用外) 424人(21.3%) 21,245円
  5. 整体・カイロプラクティックなど 343人(17.2%) 12,477円

「妊娠しやすい体づくりのために治療と併用して取り入れたり、治療をお休みしているときに体のケアをする人は多いですね。さらに毎日の食事に気を配るなど、見えない部分で妊活に費やす時間やお金もあると思います」

お金の工面、みんなは
どうしてるの?

夫婦の収入や貯蓄が治療費に

不妊治療をしている人は、どうやってお金を工面しているのでしょうか?

「私たちの調査では、夫婦の収入や貯蓄などをあてるケースが多かったのですが、親戚や友人からお金を借りた、なかには少数とはいえ金融機関から借りたという人もいらっしゃいました。体外受精は一般的に年齢が若いほど妊娠・出産に結びつく方が多いのですが、若いカップルではまだ貯蓄が十分ではなく、お金が貯まるまで治療を先延ばしにせざるをえない。そうすると、その分年齢が上がって妊娠しにくくなってしまう・・・という悩ましい問題もあるのです」

助成金をチェックしよう!

こんなにたくさんの人が不妊治療をしている現在、何かサポートはないのでしょうか?

「国が定めた『不妊に悩む方への特定治療支援事業』があり、都道府県・指定都市・中核市で実施されています。特定不妊治療(体外受精・顕微授精)を受けた夫婦が対象で1回15万円までの助成が受けられますが、年齢や回数、所得制限などがあります。また、これに加えて自治体が独自で助成金を上乗せするケースあるので、お住まいの自治体の制度を、ぜひ確認してみてください」

最近は、人工授精や一般不妊治療に助成を行なう自治体も増えているそうです。これはチェックしない手はありません。

お金をかけずに妊娠するのが一番いいけれど、そうはいかないこともあるかもしれません。妊活スタートと同時に、妊活資金も考えておく必要がありそうです。

参考

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