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ファザーリング・ジャパンでイクメン養成【育児支援活用シリーズ】

2013.09.04

「赤ちゃんが生まれたら、夫にはイクメンになってほしい」と願うママは多いでしょう。育児はママひとりでできるものではなく、パパの力は絶対に必要です。でも、男性は育児のこととなると、どうしても戸惑ってしまうもの。夫にイクメンになってもらうには、どうしたらいいのでしょうか?
今回は、父親を支援する『NPO法人ファザーリング・ジャパン』に取材してきました。パパの心理や状況を理解して、妊娠中の今からイクメンの布石を打っておきましょう。

夫のイクメン養成は、
男心を知る
イクメンにおまかせ

育児に積極的に関わる父親、「イクメン」という言葉が世に出始めたのは、2010年。その年の流行語にも選ばれました。世の中、だんだん「パパも子育てして当たり前」の風潮に変わりつつあります。

でも実際には、男性の育児休業の取得率も低く、家事や育児の分担もなかなか進まず、言葉倒れに終わっている面も。育児に関わりたい、イクメンになりたい気持ちはあっても、「どう行動したらいいかわからない」「仕事を休むなんてできない」というパパが多いのが現状です。

そんな夫に対しての妻からの、「イクメンになってね。期待しているから!」「どうしてやってくれないの?」という言葉は、プレッシャーになるだけ。かえって逆効果になりかねないようです。

「男は物事を論理的に考えるので、女性の感情的な言葉や暗黙のプレッシャーにはどう対処したらいいかわからないんです。それより男性の育児参画の必要性を、根拠データや実例で見せたほうが、ずっと近道なんです」というのは、NPO法人ファザーリング・ジャパンの徳倉康之さんと塚越学さん。

「育児は修行」。
だけど、育児は楽しい!

男性の育児参加への呼びかけは、育児に参加した男性経験者から勧めてもらうのが、どうもよさそうです。まずは、この2人のイクメン体験談を聞いてみました。

徳倉さん「現在、共働きで、子どもは男の子2人。以前はメーカーで10年間営業の仕事をしていました。会社では男性初の育休取得者となり、取得も大変でしたが、何より育児より仕事のほうが断然ラクだという事を実感しました」

塚越さん「妻が専業主婦だったときに育休を2回取りました。特に次男のときの産前産後は、妻に休んでもらおうと思って、長男の育児と家事は全部やりました。それは、まさに修行でしたね(苦笑)」

「仕事のほうがラク」「修行」といいつつも、それでもふたりとも、「父親も育児に関わるべき」と断言します。

徳倉さん「1人目のときはとにかく必死で、子育てに自分が役に立てたかわかりませんが、妻のサポートの大切さと、子どもをいっしょに育てる事の大変さと喜びを、共に経験できたことがとてもよかったです。2人目のときにも育休を取りましたが、今度は自分自身に余裕があり、とても気持ち的に楽に取り組めました。この時に世の中のパパも本気で育児に向き合ったほうがいいと、思ったんです。実際の育休期間が長いか短いかはともかく、こんな素敵で期間限定の経験を逃してはもったいない。そう確信して、それでファザーリング・ジャパンの会員になったんです」

塚越さん「男の育児参画の効果は、妻との関係がより強固になることです。乳児の育児に知らん顔した夫のことは、一生恨みに思う、っていいますよね。"いちばん大変なときにあなたはいなかった"という記憶はいつまでも忘れないでしょう。でも、この育児の修羅場をいっしょに体験した夫とは戦友になれる。イクメンなんて評価はあとからついてくるもので、まずは妻への気遣いと育児を通した体験の共有が家族を円満にしていくのではないかと思います」

ファザーリング・ジャパン事務局長・徳倉康之さん。「育児より仕事のほうがラク。だけど楽しい。世のパパとこの楽しさを分かち合いたい」

ファザーリング・ジャパン『さんきゅうパパプロジェクト』リーダー・塚越学さん。
「男が育児参加すれば、妻との関係がよくなる。家族円満になります」

日本初「父親学校」。
父親が育児を楽しむための
講座開催中。

さて、こんなイクメンの徳倉さんと塚越さんが籍を置いている『ファザーリング・ジャパン』というのは、日本を代表する、父親支援団体。会員は全国に約300人。各地で講演会や勉強会、親子で楽しむイベントなど、さまざまな育児支援活動を展開しています。

「父親であることを楽しむことこそが、子どもの笑顔と母親の笑顔につながるのです」(徳倉さん)

しかし、なにごともそうですが、楽しむためにはスキルが必要です。そこで、徳倉さんたちが企画しているのが、ファザーリング・スクール「父親学校」です。父親が育児を楽しむために必要なことを学ぶ全8回の講座です。

「講座では、まず育休経験のある企業トップや少子化担当大臣、大学教授など社会のオピニオンリーダーに基調講演をしてもらいます。第一線で活躍する人から、イクメンの必要性や重要性を説かれると、ものすごい説得力があるんです」(徳倉さん)

講座内容は、毎回異なりますが、たとえば、IT企業サイボウズの青野社長の話、ファザーリング・ジャパン代表の話、保育園代表者による実践的な子どもとの関わり方、ワークライフバランスの話、地域のパパとのつながり方、家事の方法論、ママとの愛し愛される会話とスキンシップ……などなど。第一線で活躍する現場の講師から、育児を楽しむための実践的な話を聞き、学びます。

「最初は、奥さんに勧められてしかたなく、という感じで参加している男性も多いんです。ところが講座を受けるたびごとに、体が前のめりになっていく――。8回の講座を終えた男性たちは、すっかり意識が変わり、イクメンになっています」(徳倉さん)

『ファザーリング・スクール』で学ぶパパ、プレパパたち。父親を楽しむスキルが身につく。

ファザーリング・スクール

  • カリキュラム例
    1. 基調講演「子育ては未来と市場を創造する仕事」
    2. 園代表が教える子どもとの関わり方
    3. パパの働き方革命~ワークライフマネジメント実践講座
    4. イキメンになろう!
    5. シュフ男子の家事講座
    6. ママを愛するパートナーシップ
    7. パパのポジティブ子育て
    8. ファザーリング最終講義&修了式
  • 受講料/全8回29,400円 単科受講も可(1回4200円)
  • 申し込み/ファザーリングジャパンホームページから

育休を取った男性ほど、
仕事ができる!出世する!

徳倉さんたちは、父親学級など、ひとりひとりの父親たちの意識を変える活動と同時に、地域や企業、自治体など社会全体に男性の育児参加の機運を作っていく活動もしています。

そのひとつが、『さんきゅーパパプロジェクト』。2010年6月に育児介護休業法が改正されたのをきっかけに、産後8週間の間に育児休暇を取る男性を増やそう!という取り組みです。

2013年6月には、森雅子少子化対策大臣も父親の育休を政策提言。お役所でも、勉強会が始まっています。

今回はそんな勉強会にも潜入。さまざまなデータ、徳倉さんや塚越さんの経験をもとに、男性の育休の必要性を説いていきます。

「育児休業の制度そのものを知らない人も多いのです。まずは職場の制度を調べましょう。そして戦略的に後輩や上司を巻き込んでいくことが大事です。私も男性の育休取得の前例がない中で、長い時間をかけて入念に準備して取得しました」(塚越さん)

「育休から戻ったらポストがないのではないか」「出世に響くのではないか」といった不安に対しては、なんとマイナスよりもプラスの効果が高い、というデータも飛び出しました。

「育休を取ると、出世や昇給にこだわりがなくなって価値観が家庭へと変化する人と、この結果、家庭が安定し、より仕事への集中度が高まって、出世意欲が高まる人に分かれます。育休をとった人ほど出世するというデータもあります。育児を経験すると、視野が広がり人間力が向上するからです」(塚越さん)

「女性でさえ育休を取っても復帰した後の悩みが多い時代。男性にとってみればなおさらでしょうが、取りたいなと思ったら行動に移してもらいたいですね。それが周りの状況を少しずつ変えていく大きな力になっていくのですから」(徳倉さん)

父親が変われば、家庭が変わる。地域が変わる。企業が変わる。そして、社会が変わる――。これこそがまさにファザーリング・ジャパンの目指すところ。

「育休なんて取れないよ~」という諦めモードのパパも、一歩踏み出すことで、さまざまなプラス効果、波及効果をもたらすことがわかれば、意識が変わりそうです。

dummy消費者庁での講演にのぞむ、ファザーリング・ジャパンの徳倉さんと塚越さん。

dummy消費者庁の職員を前に、データなど示しながら、男の育児休暇のメリットを熱く語る、徳倉さんと塚越さん。

『さんきゅうパパプロジェクト』3つのミッション

step1

産後8週間以内の男性の育児休業取得率を上昇させる

step2

産休中のパパのネットワークを構築し、孤立させない

step3

個人・企業・社会に対し「パパ産休」を啓もうし、社会構造の変革を導く

勉強会参加者の声。
男性も多様な育休が
取れる社会に。

この勉強会に参加した消費者庁の職員のみなさんにも感想を聞いてみました。

「1人目は里帰り出産だったので育休は取りませんでしたが、2人目は里帰りしなかったので5日間の休みを取りました。育休をとってわかったのは、長期的な休みより、日常生活で回せる休みが必要だということ。今は2時間早く帰宅する、短時間勤務や短日勤務を取り入れています」(総務課Sさん、2児のパパ)

「仕事柄、帰れない時期がありますが、育休を取ってみんなでフォローし合うことが大事だとわかりました」(人事課Iさん、1児のパパ)

「受身ではなく、育休を取れるよう自ら働きかけることが重要なんだと思いました。これから会社の育休制度について調べてみたいと思います。育休の取り方は、一度にたくさん取るのではなく、週の何日かを取るようにするといいかもしれません」(政策課Aさん、1児のパパ)

国の政策にかかわる人たちの意識が変われば、やがて広く一般男性の育休にもつながっていく――。国からの育休支援ももっともっと望みたいところですね。

「男の育休」を熱心に学ぶ消費者庁のみなさん。勉強会参加後は、ますます意識が高まった様子。男の育児参加は、新たな自分、新たな時代を切り開く、突破口になりそうです。

イクメンへの道は
妊娠中から。
パパスイッチは
早く入れるべし。

さて、イクメンへの道を歩んで欲しい、ママの気持ちは高まるばかり。そのためには、「生まれてからよりも、生まれる前から、妊娠中から始めたほうが、ずっと効果的」と徳倉さんも、塚越さんも口を揃えます。

「私は大田区で、妊娠中に行う両親学級の講師もしています。現役の父親が講師なので、等身大でリアル。妻に無理やり連れてこられたプレパパも、帰るころには、“父親スイッチ”が入っています。やはり生まれる前に現役の父親から教わる機会があると違いますね」(塚越さん)

「今そこにある危機に対応するよりも、危機が来ることを知って前もって準備してほしい。妊娠中から勉強すれば、イクメンへの意識も、実際の行動も100倍、200倍違います」(徳倉さん)

さて、今日からイクメンへの道。パパにはぜひ、この記事を読んでもらいましょう。そして、ぜひファザーリング・ジャパンのホームページをのぞいてもらいましょう。きっとイクメンへの第一歩になるでしょう。

最後に、徳倉さんが教えてくれたのは、ママにもできるイクメンへのひとつの近道。

「妊娠中でもいいし、子どもが生まれてからでもいいのですが、ご主人の職場の人たちに会うといいんです。赤ちゃんを連れていって、ぜひ抱っこしてもらってください。一度でも面識があると、あの奥さんが、あの子がたいへんなのか……と顔が浮かびます。自然と情が湧いて、ご主人の休みや時短もとりやすくなるんです」

リアルな子育ての現場では、人間関係に助けられることがたくさんあります。これから始まる長い育児期間。いろいろなことがあるでしょうけれど、夫の職場の人たちの理解も得ながら、乗り切っていきましょう。

NPO法人ファザーリング・ジャパン

主な事業内容:「ファザーリング・スクール」「さんきゅうパパプロジェクト」「イクジイプロジェクト」をはじめ、各地でさまざまなイベント、講演会、セミナーなどを開催している。
参加利用できる人:育児に関心がある父親、母親、祖父母等。
参加利用方法:各講座の申し込みや会員申し込みはホームページから。

取材協力/NPO法人ファザーリング・ジャパン

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