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NICU(新生児集中治療室)ってどんなところ?

2017.06.05

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日本は世界で最も安心してお産ができる国のひとつです。なぜなら、日本では早産(在胎期間37週未満での出生)で生まれる赤ちゃんの数が増えているのに、赤ちゃんの死亡率は年々下がり、厚生労働省が発表した2015年の「新生児死亡率」は0.9(1000人出産当たり0.9人)と、世界で最も低い国のうちの1つになっています。今回は、そんな新生児医療をささえるNICU(新生児集中治療室)についてご紹介します。もしもの時に私たちを支えてくれるのはどのようなところか、ぜひ知っておきましょう。

取材協力:ユニ・チャームunicharm

取材協力・監修

内山 温 准教授
東京女子医科大学
母子総合医療センター新生児医学科

岐阜大学医学部卒業。医学博士。小児科医。
周産期(新生児)指導医・専門医。
『ハイリスク新生児栄養管理・母乳育児 Q&A』、『新生児の診療・ケアQ&A 早産・ハイリスク編 』(メディカ出版)(メディカ出版)など多数。

知っておきたいNICU

Q:NICUとはどのような場所なのですか?

内山先生:NICU(新生児集中治療室)は「Neonatal Intensive Care Unit」の略。生まれた時から重い病気にかかったり、早産で小さく生まれたため、保育器内での保育や人工呼吸器による呼吸のサポートが必要な場合など、何らかの治療やケアが必要な赤ちゃんたちが入院するお部屋です。

Q:NICUでは、具体的にどのようなケアをしていますか?

内山先生:病気がある赤ちゃんや、低出生体重児(出生体重2500g未満の赤ちゃんを指します)で生まれた赤ちゃんには、「体温管理」と「栄養管理」、そして「感染予防」の3つを常に心掛けて、看護師や医師が24時間ずっと見守ってケアをしています。

Q:「体温管理」はどのように行っているのですか?

内山先生:保育器の中で温度や湿度などを調節して、それぞれの赤ちゃんにとって「適切な環境」を作ってあげます。基本的には赤ちゃんの体温が37.0度プラスマイナス0.2度になるように保育器の温度を調節しています。しかし、非常に重篤な仮死状態で生まれた赤ちゃんの場合には、後遺症を減らすために72時間は体温を33~34度程度に保つ低体温療法を行うなど、必ずしも温めればいいというわけではありません。つまり、それぞれの赤ちゃんの状態に応じて、一番よい環境を提供するように心がけているのです。また、体重が1,000gに満たない赤ちゃんは、皮膚が薄く未熟であるため、保育器の温度だけを上げていると、体の中の水分が蒸発して脱水になり状態が悪化してしまいます。そのような赤ちゃんの場合には、生まれて3日間くらいは保育器の中を100%近くに加湿することもあります。本来なら羊水の中にいる時期の赤ちゃんにとって、最高の環境はやっぱり羊水の中。羊水の中にいる状態を理想として、どのようなことができるかを考えて対応しています。

Q:「栄養管理」はどのように行っているのですか?

内山先生:赤ちゃんの状態によって必要な栄養は変わってきます。適切な栄養を赤ちゃんの負担にならない範囲内で与えることが、成長発達を促すために大切です。母乳に勝る栄養はないのですが、早産で小さく生まれてきた赤ちゃんは、本来なら胎盤や羊水を介してもらえるはずの栄養がとれません。1,500g未満で生まれた赤ちゃんには、母乳にタンパク質や脂質、さらにカルシウムやナトリウムなどを加えて適切な栄養が摂取できるように対応しています。

また、人工呼吸管理やその他の理由で、お口から哺乳することができない赤ちゃんの場合には、口や鼻腔から胃の中までチューブ入れて、そのチューブを介して母乳やミルクを与えることもあります。その方法も難しい場合には、点滴に栄養分を加えるなど、赤ちゃんの状態によって、栄養を与える方法も変えています。

Q:「感染予防」はどのように行っているのですか?

内山先生:医師や看護師はNICUに入室する際には、肘のあたりまでしっかりと消毒液をつけて手を洗っています。処置の前には速乾性手指消毒薬を使用し、使い捨ての手袋をはめます。赤ちゃんの状態によっては、さらにガウンを着用してより一層感染予防に気をつけることもあります。赤ちゃんに面会するご両親にも必ず入室の際に手洗いをしてもらっていますし、風邪などの症状がある場合には、申し訳ないのですが面会をお断りさせていただいています。正期産で元気に生まれた赤ちゃんがもっている免疫(抗体)を1とすると、24週で生まれた赤ちゃんはその1/6程度しか抗体を持っていません。赤ちゃんは抵抗力が弱いので、感染症にかかりやすいだけではなく重篤化しやすいのです。したがって、NICUでは感染予防に留意することがとても大切なのです。

NICUの中は
どうなっているの?

東京女子医科大学病院のNICUを取材させていただきました。実際にどのような設備や環境で赤ちゃんの診療やケアが行われているのか、見ていきましょう。

かわいく飾られたNICUの入り口

24時間医師と看護師さんが常駐しています

東京女子医科大学母子総合医療センターのNICUのベッドの数は18床、GCUという少し状態のよくなった赤ちゃんが入院するお部屋にもベッドが21床あって、年間300~350人の赤ちゃんが入院しているそうです。NICUでは、赤ちゃん3人に対して1人以上、GCUでは6人に対して1人以上の看護師さんがケアにあたらなければならないと決められていて、ここでは10名のお医者さんと、50名ほどの看護師さんがシフト制で24時間、赤ちゃんの診療にあたっています。

東京女子医科大学病院のNICUの様子

GCU(回復期病床)

GCUは「Growing Care Unit」といい、NICUでの集中治療は必要のない状態になったけれど、まだ退院して家で過ごすのは難しい赤ちゃんが入院するお部屋です。NICUと比べると、モニター類や配線が少なく、すっきりとしています。

NICUのとなりにGCUのお部屋があります

ベッド環境は3種類

赤ちゃんの状態に応じて「閉鎖型保育器」、「開放型保育器」、「コット」の3種類を使い分けるのが、大人のICU(集中治療室)とは違うところ。「閉鎖型保育器」は全体を覆っているので、保育器の中の温度だけでなく、湿度も調節することができます。「開放型保育器」は、上から赤ちゃんを温めて体温調節をします。「コット」はいわゆる普通の赤ちゃん用のベッドなので、状態が落ち着いた赤ちゃんが使います。

閉鎖型保育器

開放型保育器

コット

赤ちゃんの状態はモニターで常にチェック

心拍数、脈、血圧、酸素飽和度(※)、呼吸数といった、赤ちゃんの状態は、常にモニターで確認できるようになっています。赤ちゃんの心拍数や呼吸の状態などに異常があったときには、アラーム鳴るため、看護師さんや医師がすぐに対応してくれます。

  • 酸素飽和度(さんそほうわど)・・・赤血球の中に酸素と結合しているヘモグロビンがどれくらいの割合あるかを示す値。赤ちゃんに必要な酸素がきちんといっているかを確認できます。健康な赤ちゃんでは、95%以上の値を示します。

モニター

進化している呼吸管理

一般的な人工呼吸器は肺の中に強制的に圧力をかけて呼吸をサポートする仕組みですが、早く生まれた赤ちゃんの肺はまだ未熟なので、どうしても肺に負担をかけて傷んでしまいます。そのような赤ちゃんに対して、肺への負担を少しでも軽減させるために高頻度振動換気(HFO)方式の人工呼吸器が使用されることがあります。HFOは最小限の圧力で適切に肺を広げた状態で、さらに振動を与えることによって呼吸管理をすることができるので、赤ちゃんの肺への負担を減らせます。

照明のこだわり

生活リズムを整えるために夜は暗くしてあげるのがよいのですが、暗いと赤ちゃんの様子をきちんと観察することができないため、明るさを確保しつつ赤ちゃんは暗い中にいるように感じることができる特殊な照明をつかっています。昼の照明に比べると夜は少しオレンジ色の光になります。こういった技術の進歩が現場を支えてくれているそうです。

昼間の光

夜間の光

赤ちゃんがストレスを感じないように

早産で小さく生まれた赤ちゃんはとても敏感で、肌に触るだけで痛みを感じたり、ストレスを感じて一時的に体調が悪くなることがあります。そのため、できる限りストレスを与えないように必要最小限のケアにとどめる「ミニマル・ハンドリング」を心がけています。他にも、胎内にいたときと同じように、手は顔の近く、脚も曲げている体勢にしてあげてから、おむつ交換やお熱をはかってあげたり、「ホールディング」といって赤ちゃんを手のひらで包み込んであげて「今から触れるよ」という合図を送ってあげてから点滴などの処置をすることで、赤ちゃんのストレスを減らしてあげることができるそうです。ただ、在胎期間24週ぐらいまでに生まれた赤ちゃんにとっては、触ることのほうがストレスになることもあるので、どのような対応が赤ちゃんにとってやさしいケアといえるのかを考えながら、臨機応変に選択しています。

体重の少ない赤ちゃんにもぴったりで、無理のない姿勢で交換できる病産院専用のおむつも完備

家族とのコミュニケーションを大切に

赤ちゃんのご家族の不安を少しでも減らせるように、赤ちゃんの状態や処置の内容、赤ちゃんにつけている管は何のためのものなかなどまで、できるだけ詳しく説明しているそうです。治療方針についても、赤ちゃんがどのような痛みを伴うか、効果はどうなのかなど、わかりやすく説明して、医療従事者、ご家族ともに納得できるより良い治療方法を選択するように心がけてしているのだそうです。

温かいハートの先生と看護師さん

大切な命を預かるNICUの現場は気が抜けず、とてもハードです。けれど、先生も看護師さんも、とてもやりがいのある仕事だとおっしゃっていました。NICUに入院していた赤ちゃんのお母さんから毎年写真入りの年賀状をもらったり、本人からお手紙をもらったりすることもあるのだとか。「NICUにいた赤ちゃんが元気にご家族のもとに帰ることができるのが一番うれしい。大変でも仕事を続けていけるのはそういう喜びがあるからです」と語る先生や看護師さんから、本当に赤ちゃんのことを大切に考えて接しているのだということが伝わってきました。

先生からママたちへの
メッセージ

内山先生:日本の周産期・新生児医療というのは先進国の中でもトップ水準です。万が一何かあってNICUに入院することになっても、整った設備とスタッフが24時間体制でサポートしますので、心配しないで出産を楽しみにして、妊婦生活を過ごしてもらえたらと思います。

出産について、少しでも不安なことやわからないことがあれば、遠慮なく医師に質問をして不安を解消してください。1度の説明で理解できなければ、理解できるまで何度も同じ質問をしても構いません。私たち医師もできる限りわかりやすく説明できるように努めていますが、どうしても専門的な言葉遣いになってしまうこともあるので、お互いに納得して理解できるまでコミュニケーションをとることが大切です。

また、NICUに入院している赤ちゃんのお母さんは、「自分のせいで赤ちゃんが早産で小さく生まれてしまった」と自分自身を責める方が多いのですが、決してそんなことはないことを伝えたいです。お母さんの状態が悪くなったら、無理にお腹の中にいることは赤ちゃんにとっても良くないですし、赤ちゃん自身がつらいサインを出していて早く生まれなくてはいけない場合もあります。ですので、いつも「たとえ早産で小さく生まれたとしても、生まれたその日が赤ちゃんにとっても、ママにとっても、そしてパパにとっても一番良い日なんですよ」とお話させていただいています。

赤ちゃんは抵抗力が弱くて急変しやすいですが、生命力は誰よりもあります。その生命力をサポートして、全ての赤ちゃんが元気に育ってご家族のもとに帰ることができるように、今後も努力していきたいと思います。

現在は1000人に1人以下になっている「新生児死亡率」ですが、約半世紀前は30人に1人の新生児が亡くなっていました。とても速いスピードで新生児医療が進歩しているのですね。トラブルなく出産できるのが一番ですが、万が一赤ちゃんがNICUに入院することになっても、とても高い技術と愛情いっぱいのスタッフの方がサポートしてくれると思うと心強いですよね。

「ムーニー病産院用」
について
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取材協力/東京女子医科大学

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NICUは生まれた時から重い病気にかかったり、早産で小さく生まれたため、何らかの治療やケアが必要な赤ちゃんたちが入院するお部屋です。どのような設備で治療を行っているのか、実際にNICUを取材させていただきました。|妊娠・出産のサポートサイト「プレママタウン」

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