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新生児医療(保育器で育つ秘密等)

2006.05.03

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近年、未熟児の状態で生まれる赤ちゃんは増えています。わずか400g、500gで生まれ、小さな体で必死に生きようとしている赤ちゃん。そんな小さな命を守り、育てようとする取り組みが「新生児医療」です。
高齢出産の影響などで早産が増える中、小さく生まれた赤ちゃんを救う新生児医療は進歩しています。今回は『国立成育医療センター』を訪ねて、小さく生まれた赤ちゃんを健康に育てるために、どのような取り組みがされているのか聞いてきました!

この記事の監修

伊藤裕司先生

国立成育医療センター新生児科医長。東京大学医学部卒業。専門は呼吸器。「赤ちゃんを医療的に助けるだけでなく、ママや家族をサポートできる体制を作っていきたいですね」

未熟児が増加。でも助かる確率は世界一

2003年の統計によると、特殊合計出生率は1.29。ニュースで聞いたことのある人も多いでしょうが、これは1人の女性が生む赤ちゃんの数で、この特殊合計出生率は年々下がりつづけています。しかし一方で、赤ちゃんの体重が2500g未満の低出生体重児、すなわち、小さくて未熟な赤ちゃんは、増加の傾向にあります。この背景には、晩婚化で出産が高齢になったり、ママが持病を持ちながらのハイリスク妊娠だったり、不妊治療で授かった赤ちゃんが双子・三つ子などの多胎妊娠だったりなど、いろいろな要因があります。

「多胎妊娠だと、妊娠37週以降で出産することは難しいですね。どうしても早産になりがちなんです。双子の場合は37週近くまでもつことはあるのですが、三つ子以上になると、非常にまれです。最近は、お母さんの年齢も上がっていて30歳以上で出産する人が多く、早産などのリスクも高くなり、低出生体重児がどんどん増えてきているのです」というのは、国立成育医療センター・新生児科医長の伊藤裕司先生。

こうした小さく生まれる赤ちゃんを支えているのが周産期医療。ここ、国立成育医療センターをはじめ、各都道府県には周産期医療センターが、少なくとも2~3ヵ所はできていて、各病院間のNICU(新生児集中治療室)のベッドの管理や連携も整備されてきました。ここ数年で急速に赤ちゃんを守る体制が整ってきているのです。

その結果、日本での新生児死亡率は1000例中1例あるかないかという世界最低のレベル。いまや日本は新生児にとって、世界一、安全な国なのです。

『国立成育医療センター』のロビー。あちこちに子どもが楽しめるようなオブジェもあり、まるで「子どもの国」のような雰囲気。

出生体重別出生数出生体重別出生数
年々、未熟児で生まれる赤ちゃんが増えています。

国別の新生児・乳児死亡率国別の新生児・乳児死亡率
世界各国と比べると、日本の新生児死亡率はダントツに低い。

後遺症を残さないよう、
レベルアップを目指す

早産などで、小さく生まれると、赤ちゃんは保育器の中で育てられます。2500g未満が「低出生体重」と言われるのですが、最近では1000g未満、500g未満で生まれてくる赤ちゃんも増えています。なかには400g以下の赤ちゃんも。でも、やはり小さければ小さいほど、助かる確率は低く、また後遺症などの障害も起こりやすくなります。500g未満の赤ちゃんだと、10%程度しか助からないのですが、500gを超えると80%くらいの赤ちゃんが助かるようになります。そして、1000gを超えると95%の赤ちゃんが助かります。

「まず命を助ける、生きるということが大切で、死亡率は世界最低になりましたが、次の問題として、いかに上手に生きてもらえるか、が大事ですね。できるだけ後遺症のないように、医療レベルを上げていかなくてはならないと思っています」(伊藤先生)

NICU(新生児集中治療室)では、小さく生まれた赤ちゃんや、トラブルをかかえた赤ちゃんが、がんばっています。医療スタッフも最善を尽くします。

保育器で
赤ちゃんが育つ秘密

小さく生まれた赤ちゃんの皮膚はとってもうすく、体温も水分もすぐに奪われてしまいます。私たちが生活しているような環境では、熱も水分もどんどん抜けていって、すぐに脱水症状になってしまうので、保育器の中は温度も湿度もママのおなかの中と同じ、つまり羊水につかっている状態に近い環境に保たれています。湿度はだいたい80~90%、小さな赤ちゃんだと湿度100%に設定することもあります。

温度は、赤ちゃんの体温を見ながらコントロールされます。またドアを開けたときに中が冷えたりしないように、エアカーテンのような機能も付いています。さらに温度が上がりすぎたり、下がりすぎたりした場合に、警告が出るような安全装備も完備されています。こうして、熱も水分も逃げにくい状態をキープしながら、成長とともに、徐々に外の環境に近づけていきます。

また、音や光といったものも赤ちゃんには大きな刺激になるので、保育器のまわりを暗くしたり、光が直接当たらないようにしたりするなど、ママのおなかの中の状態に近づけます。保育器のドアも赤ちゃんにとっては、バタン!と響くのだとか。だから、そっと。もちろん、雑菌やウイルスからのも赤ちゃんを守らなくてはなりません。病院の感染症でよく話題にのぼるMRSAという菌も、ここではゼロ。感染症対策も万全です。

救急車専用の保育器。保育器の中は、つねに一定温度に保温され、紙おむつも広げて準備。いつでも出動できるようにスタンバイされています。

赤ちゃんの人工呼吸器って
どんなしくみ?

私たちは肺で呼吸をしていますが、赤ちゃんの肺の機能ができ上がるのは、妊娠30週前後。30週未満で生まれて来た赤ちゃんは、肺呼吸ができない状態で外界に出てきてしまうのです。こうした赤ちゃんには、赤ちゃんの口から細い管を入れ、そこから酸素を送り込んで肺をふくらませ、赤ちゃんに呼吸をさせてあげます。

「早産で生まれた赤ちゃんは、肺のまわりの筋肉もまだ弱くて、なかなか呼吸ができないので、人工呼吸器を使って治療をしていきます。肺は空気を吸い込むとプッとふくらむのですが、その物質もまだできていないので、人工的に加えてあげます」(伊藤先生)

この肺が空気を吸い込むとふくらむ物質というのは、サーフェクタントという薬。白い液体で、日本が世界に先駆けて作った薬だそうです。人工呼吸器の細い管から肺に直接入れて、肺の中に噴霧します。

また、小さな赤ちゃんの場合は、人工呼吸器でプッと広げると肺が傷つく可能性もあるので、細かく振動させながら、少しずつ肺を広げていく「高頻度振動人工呼吸」という装置を使うこともあります。

保育器の隣にあるのが、人工呼吸器。ここですべてが管理され、赤ちゃんの肺へ酸素が送り込まれています。

脳低温療法で
新生児仮死の障害予防

赤ちゃんが、おなかの中で順調に育って、満期になって出生の時を迎えた場合でも、赤ちゃんの状態が悪くなる場合があります。たとえば、出産時のトラブルなどで、赤ちゃんに酸素が送られず、仮死状態になると、脳の障害が起こってきます。これを防ぐ目的で行われているのが「脳低温療法」という治療。なるべく早い段階で赤ちゃんの頭にキャップをつけて、頭全体を冷却します。

「仮死状態になると、血圧が下がり、呼吸も悪くなって、酸素の取り込みもできなくなります。脳の障害が起こりやすいのは、実はその時ではなく、再び血液が流れて、血液がドッと流れてきた時に、その反動でダメージが起きやすいのですね。そこで、頭を冷却して活動を少し抑えて、少しずつ状態を戻してあげるんです」

脳低温療法は、ここ5~10年の間に世界で有効性が証明されてきています。大人でも救急医療現場で呼吸心拍停止後の脳障害を予防するために行われている治療で、新生児医療にも徐々に取り入れられてきています。

母子入院で
ママも安心“コアラケア”

早産で生まれた場合、赤ちゃんは、最初の出産予定日のころまで入院することになります。ママの子宮という最高の環境で育っても40週前後かかるのですから、体外という不利な環境で育つのにも、やはり最初の予定日くらいまでは、どうしても必要なのです。たとえば、25週で生まれると、残りは15週、つまり4~5ヶ月間は入院することになります。

しかし、赤ちゃんだけが長く入院していると、時々、ママは赤ちゃんの成長に対してだんだん不安を持つようになってきます。そこで、この病院で行っているのが、赤ちゃんの退院前の母子入院。赤ちゃんの退院前に、ママもいっしょに入院してもらって、赤ちゃんとの生活に慣れてもらうという狙いです。国立成育医療センターでは「コアラケア」と呼んでいます。ママがコアラのように赤ちゃんを抱っこして帰れるように、という願いがこめられているのです。

「核家族で、お母さんひとりが赤ちゃんの面倒を見ないといけないといった状況だと、赤ちゃんが病気を持っていたり、小さく生まれていたりしたときに、お母さんは非常に神経質になってしまうんですね。小さい赤ちゃんでも、きちんと治療を受ければ助かっていきますから、それほど心配する必要はなくなってきているのですが、育児不安に陥るお母さんも多いんです。お母さんや家族への手助けやケアも必要なのです。医療面では、赤ちゃんは小さくても元気になるので、お母さんはたくさん愛情を注いであげて、希望をもってほしいと思います。そして、医療の面だけでなく、社会的な面でも、赤ちゃんと家族をサポートしていけるような体制を作っていけたらと思っています」(伊藤先生)

母乳は冷凍保存も。保育器の赤ちゃんも、こうしてママの母乳で育っていきます。愛情がいっぱい詰まっています。

  • 参考
    「赤ちゃん成育ネットワーク」

新生児医療経験者の小児科医のネットワーク例です。小さく産まれたり疾患を持っていたりと、育ちに特別な配慮の必要な赤ちゃんをサポートする体制がふえてきているので、お住まいの近くで探してみましょう。

取材協力/国立成育医療センター 監修/伊藤裕司先生(国立成育医療センター)

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