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無痛分娩とは?費用やリスクは?

2018.06.19

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「鼻からスイカが出るよう!」とまで表現されるように、出産には痛みが伴うというイメージが強いもの。しかし近年、医療の発展により、「安全で、痛みを和らげる出産」ができるようになっています。取り扱う出産のすべてを無痛分娩で行っている田中ウィメンズクリニックの田中康弘院長に、具体的な方法や費用などについて聞きました。使用する麻酔薬の副作用や、まれに起こる重大なリスクなどについても解説します。

監修者プロフィール

田中康弘院長
田中ウィメンズクリニック

慶應義塾大学医学部卒。1973年、産婦人科麻酔科「田中ウィメンズクリニック」を開設。田中ウィメンズクリニックは、硬膜外麻酔による無痛分娩を国内で最初(1973年1月)に始めた無痛分娩の草分け。
田中ウィメンズクリニック

無痛分娩とは?

陣痛や出産の痛みを麻酔によって和らげ、分娩をサポートするための処置です。以前は点滴で麻酔薬を入れたり、マスクから麻酔薬を吸入したりするなど、全身麻酔に近い方法が行われていましたが、現在は硬膜外麻酔という局所麻酔が一般的です。

無痛分娩は、事前に予定日を決めて、人工的に陣痛を誘発して出産へつなげる計画分娩が一般的です。一方で、自然な陣痛が来てから入院して無痛分娩をしている病院もあります。そのような施設は、麻酔科医が24時間常駐している病院に多く見受けられます。

「無痛」という名前がついているだけに、「まったく痛みがない」と思いがちですが、まったく痛みを感じない、生理痛ほどの痛みを感じる、下腹部に軽い違和感があるといったように、痛みの感じ方は人それぞれ。施設によっても違い、「まったく痛くない」から「痛みを和らげる(和痛)」という所まであるので、その点を病院でよく確認しましょう。

硬膜外麻酔が主流。赤ちゃんへの影響は?

無痛分娩で使われる硬膜外麻酔とは、脊髄の外側にある硬膜外腔に、背中から細くてやわらかいカテーテルを挿入し、麻酔薬を注入する方法です。下半身にだけ麻酔薬が効くように調節しているので、麻酔をかけたあとも意識ははっきりしています。

「麻酔の効き方が強いと、両脚に力が入らずに上手にいきめなくなります。なるべく痛みだけ取るように麻酔薬の量を調節するのが必要。『おなかが張ってくるのはわかるけれど、痛くない』という状態で分娩が進行するのが理想です。痛みがないので助産師のリードに冷静に対応でき、いきみの動作が上手にできます」と田中先生は話します。

硬膜外麻酔で使用する麻酔薬は、投与が少量であるうえ胎盤でブロックされるので、赤ちゃんに影響はありません。

無痛分娩をする人ってどれくらい? 国によって違う無痛分娩率

国によって、無痛分娩率は大きく異なります。

  • 日本   6.1%(2016年)
  • フランス 80%(2010年)
  • アメリカ 61%(2008年)
  • イギリス 23%(2006年)
  • ドイツ  18%(2002年)
  • 日本のデータは厚生労働省の研究班による。そのほかのデータは日本産科麻酔学会による。

諸外国に比べ、なぜ日本の無痛分娩率は低いのでしょう。田中先生は、次のように話します。「日本には、痛みを耐え抜いてこそ母性が確立するという“産痛(さんつう)有意義論”が長く謳われてきました。産痛を安全に処理できない時代には、そう考えるしかなかったのです。医療の進歩により激痛を取り去ることが可能になった現在では、その考えにしばられることはありません」

さらに、無痛分娩は麻酔科医が行うのが望ましいのですが、日本には麻酔科医自体が少ないのが現状。産婦人科医が麻酔も担当している施設が多くあり、人手不足で頻繁に無痛分娩を行うことができないことも原因のひとつとして挙げられます。

一方で、突出して無痛分娩率が高いフランスやアメリカには、麻酔科医が日本の約2.5倍いるといわれています。また、24時間体制で無痛分娩を扱う病院も多く存在します。

無痛分娩のメリット

痛みを取るほかにも、無痛分娩のメリットはたくさんあります。

リラックスして出産できる

徐々に激しくなる陣痛に耐える必要はなく、終始リラックスして出産ができます。特に緊張しやすい人や痛みに弱い人などには向いています。

痛みの刺激によるトラブルを防ぐ

激しい痛みで、血圧が一気に上昇したり、過呼吸になったりすることがあります。不安や恐怖心でパニック状態になることも。無痛分娩で痛みを取れば、そのようなトラブルの心配がありません。

産道がやわらかくなり、分娩がスムーズに進む

陣痛で全身の筋肉が緊張していると、産道も硬く狭められることがあります。硬膜外麻酔の作用で胎盤や産道の血流がよくなるので、産道の緊張が取れて開きやすくなり、お産がスムーズに進みます。

胎児へのストレスを軽くする

出産時、狭い産道を通る胎児のストレスは相当なもの。産道の緊張が取れてやわらかくなると、胎児のストレスを軽減させることができます。

産後の体力の回復を早める

ママには痛みに耐え抜いたストレスがないので、「疲れ果ててヘトヘト」といったことがありません。産後の体力は早めに回復します。

緊急帝王切開が必要になったとき、速やかに手術分娩に移行できる

硬膜外麻酔による麻酔薬を注入する処置はできているので、同じカテーテルから麻酔薬を増量するだけで、速やかに帝王切開へ切り替えることができます。

ハイリスク妊娠では、より安全な出産に

妊娠高血圧症候群、心臓病、糖尿病、過呼吸症候群といった合併症があるときに、痛みによる母体の負担を軽減させて、より安全に出産ができます。

会陰の裂傷が少ない

麻酔の作用で産道の血流がよくなり、緊張が取れて会陰の伸縮性がアップ。会陰の裂傷をできるだけ抑えることができます。

無痛分娩のデメリット

無痛分娩には、メリットだけではなくデメリットもあります。きちんと理解しておき、無痛分娩を検討する際の参考にしてください。

器械による分娩が増える

ときには麻酔が効きすぎて脚に力が入らず、うまくいきめないことがあります。分娩時間が長引かないように、吸引分娩(シリコン製のカップを胎児の頭に当てて引き出す)や鉗子分娩(鉗子で胎児の頭をはさんで引き出す)など、器械を用いて分娩をサポートすることがあります。

「出産にはリスクが伴う」という意識が薄れる

痛みのない出産があまりに楽なので、「出産なんて簡単」「また無痛分娩で楽に産めばいい」なんて安易な発想に傾いてしまうママがいます。しかし、出産はいつどのようなトラブルになるかわかりません。大きなトラブルになれば、ママと赤ちゃんの命に関わることもあります。「痛みはなくても出産にはリスクが伴っていることを、絶対に忘れてはいけません」と田中先生は注意を促します。

無痛分娩のリスクや実際にあった事故

硬膜外麻酔の副作用

硬膜外麻酔には、次のような副作用が起こることがあります。ただし、症状が長引いて重症化することはありません。

・低血圧

背中には血圧を調整する神経が通っています。硬膜外麻酔によって背中の神経にも影響を与え、血管の緊張が取れて血圧を下げてしまうことがあります。通常は大したトラブルに発展しませんが、血圧の低下が大きいと、ママの気分が悪くなり、胎児が少し苦しくなってしまうことも。

・排尿トラブル

背中には、「尿を出したい」という感覚や「尿を出す」といった神経が通っています。硬膜外麻酔をすることで、膀胱に尿がたまっていることがわかりづらい、尿が出るまで時間がかかる、尿がうまく出せないといったトラブルを一時的に生じることがあります。

・かゆみ

麻酔薬の影響で、皮膚にかゆみを生じることも。症状がひどいときは薬で抑えますが、ほとんどの場合、治療をするほどではありません。また、麻酔の効果が消失するころには治ります。

・発熱

38℃以上の発熱が見られることがあり、特に初産婦さんに多い傾向があります。子宮収縮によって代謝が高まっていることや、体温の調整機能が一時的に鈍くなることなどから、熱が体外へ効率よく放出されず、体にこもってしまうことが原因と考えられます。

無痛分娩のリスク

医師は、ママと胎児にトラブルが起きないように細心の注意を払って麻酔を行いますが、無痛分娩には、副作用のほかにリスクもあります。ただし、滅多に起こるものではありません。医師がきちんとママと胎児を観察し初期対応を間違わなければ、重篤な合併症に発展したり、永久的な障害を残したりすることもほとんどないので、過剰に心配しないようにしましょう。

・硬膜穿刺(こうまくせんし)による一過性の頭痛

カテーテルを挿入するときに硬膜を傷つけ(硬膜穿刺)、脊髄の周囲を満たしている液体(脳脊髄液)が硬膜の外に漏れることで頭痛が出ることがあります。症状は、上半身を起こすと強くなり、寝ると軽快するのが特徴。安静や鎮痛薬の内服で治療しますが、一過性の症状なので通常は2~3日で治ります。

・神経障害

硬膜外麻酔のカテーテルが神経の一部に当たってしまった場合、分娩後に下肢の痛みやしびれなどの神経障害が見られることがあります。多くは一過性で、2~3ヶ月で治ることがほとんど。

・全脊髄くも膜下麻酔(ぜんせきずいくもまくかますい)

本来、硬膜外腔に入るべき麻酔薬が、誤ってその奥にある脊髄くも膜下腔に入ることによって、大量の麻酔薬がすべての抹梢神経に作用してしまうことです。横隔膜神経なども麻痺させ、急速にママの呼吸が止まり、意識も消失します。3分以内に人工呼吸で酸素を送れば1時間ぐらいで自然呼吸が始まり、後遺症も残りません。早期発見と迅速な処置が必要です。

・局所麻酔薬中毒

硬膜外腔の中を通る血管に、誤ってカテーテルが挿入されることが原因です。血液中に入る麻酔薬の濃度が高くなるにつれ、耳鳴り、口の中に金属の味が広がる、舌のしびれ、ふらつき、けいれん、不整脈などの症状が出ることがあります。

重大な事故が起こるのは、人手不足などが原因

無痛分娩における、死亡事故を含む重大事例が起きるケースはゼロではありません。2017年以降、大阪、神戸、京都など関西圏を中心に、赤ちゃんに重い障害が残ったのちに死亡、母子に重い障害が残った、麻酔直後に母親の容体が急変して数日後に死亡など、事故が相次いで発覚しています。

事故が起きた原因として、人手が少なく監視体制が十分でなかった、麻酔を担当した医師が無痛分娩に関する知識が足りていない、医師やスタッフが急変時に対応できるまで訓練されていないといったことが考えられます。

「病院を選ぶときは、無痛分娩に対してどのような体制をとっているか必ず確認してください」と、田中先生はアドバイスします。麻酔科医がいないため、産婦人科医が麻酔を担当している病院は珍しくありません。しかし、「麻酔は薬の量や種類を調整し、それをどのような時期に投与するかなどの技術が必要。経験のある麻酔科医が終始お母さんの容体を観察して、産婦人科医と連携して無痛分娩に当たるのが理想です。麻酔科医が常駐していて、無痛分娩の取り扱い件数が豊富な病院を選ぶようにすれば安心です」

やっぱり気になる! 無痛分娩の費用

無痛分娩を考えるとき、費用が気になりますね。保険は適用されず、費用は自己負担です。通常の分娩費用にプラスして約5~20万円で、平均するとプラス約10万円が目安です。「無痛分娩は、産婦人科医、麻酔科医、助産師、看護師などのチーム医療です。スタッフの人数や設備などの違いで費用に大きな差が出ます」(田中先生)

痛みの有無にかかわらず、出産は感動的

「痛みに耐えるお産の達成感は素晴らしいものですが、一方で痛みのないお産も感動的です」と、田中先生は話します。「無痛分娩では、赤ちゃんの生まれ出る瞬間を落ち着いた気持ちで見ることができます。胸に抱いたときには『言葉に尽くせない感動がある』と多くのお母さんがおっしゃいます。痛みに耐えて産まなくても、そこに母性はあふれています」

最初の出産をどのように経験するか、特に痛みはどうだったかは強く印象に残るうえ、次の出産を考えるときに大きく影響します。出産法を考えるとき、メリットとデメリットをきちんと見極めて、ひとつの選択肢として無痛分娩を考えてみてはいかがでしょう。

監修/田中ウィメンズクリニック院長 田中康弘先生

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