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剃毛・導尿・会陰切開は安産のために必要?

2008.02.06

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「自分と赤ちゃんの力を信じて自然に産んでみたい」と望むママが多くいる一方で、病院出産では、さまざまな医療処置が行われています。点滴血管確保、分娩監視装置、浣腸、悌毛、陣痛促進、吸引・鉗子分娩、会陰切開・縫合といった病院で受けるさまざまな処置。本当に必要なのでしょうか?
今回は、最先端のお産医療を提供する国立成育医療センターを訪ね、お産の医療介助はどのように行われているのか、どういう場合に必要なのかについて、産科医長の久保隆彦先生に伺ってきました!

久保隆彦先生

国立成育医療センター産科医長。医学博士。岡山大学医学部卒業後、聖隷浜松病院NICU、高知医科大学助教授、国立大蔵病院産科医長を経て、現職。専門は周産期医学、胎児・新生児学、周産期ME。妊婦と胎児の安全のために日夜取り組む。本音で話せる熱血医師。

「剃毛、導尿、
会陰切開は必要ない!?」
WHO勧告の真意は?

妊娠出産は病気ではなく、人間本来の自然の姿。できるだけ自分と赤ちゃんの力を信じて自然なお産をしてみたい――。そう考えている人は多いと思います。お産のときに行われるさまざまな医療処置についても、できれば行いたくないものでしょう。

WHO(世界保健機構)が、分娩時の剃毛(ていもう)や浣腸(かんちょう)はしなくていい、会陰切開(えいんせっかい)もルーティンで(必要のあるなしを問わず一律に)行ってはいけないなど、勧告しているので、そうした話も聞いたことがあると思います。

しかし、このWHOの勧告は、お産設備がじゅうぶんでない自宅分娩が主流の国や地域が主な対象です。確かに先進国にも当てはまるとは言っているのですが、世界的に見れば、消毒薬や清潔な用具すら揃っていない不潔な状態でお産となる地域が未だ大多数を占めていて、そこに先進国が行っている手術や医療処置を導入すると、かえって危険なのです。

たとえば、毛を剃ると皮膚に細かい傷が付いて、そこから細菌感染する恐れがあります。会陰切開もしかり。日本や欧米のように、衛生管理のしっかり行き届いた施設内で行うならばメリットが大きいことでも、お産設備が整っていないところで、習慣的に行うとデメリットのほうが大きい、というわけです。

世界的に見れば、日本や欧米の妊産婦死亡や新生児死亡はこのような地域より2桁も少ないのです。一方で、紛争や飢餓に苦しみ、満足なケアも受けられず、出産がきっかけで母子が命を落としている地域がまだまだたくさんあります。WHOは、こうした地域をも視野に入れて勧告しているので、決して同じように語ることはできないのです。WHOが目指す妊産婦死亡の目標は10万出生あたり300人(現在は400人)と日本の妊産婦死亡の約50倍。とても日本では考えられない惨憺たる現状でお産を行なっているのです。

剃毛範囲は必要最小限。
導尿はケースバイケース

以前は一律に行っていた医療処置も、最近はそのメリット、デメリットが検証され、見直されているものもあります。

たとえば剃毛。以前のように、おなか全体の産毛まで剃ることはしなくなりました。
帝王切開手術のときは、切開する周辺、たとえば横に切るときは、恥骨の上あたりの陰毛を一部だけ剃ります。
会陰切開では、細菌感染の防止や縫合のときの消毒のために、会陰の毛を少しだけ剃ります。
体毛には雑菌が付着しているためと、切開や縫合のときにも毛がじゃまになるからです。
感染症予防という衛生上の目的で必要最低限、妊婦さんの体に負担がかからないように行っています。

導尿(どうにょう)は、尿道に管を通しておしっこを取る方法ですが、帝王切開の手術や無痛分娩でお産をするときには行います。麻酔が効いてきて、トイレのために立ち上がって転ぶと大変なので、安全策として行っています。
でも、麻酔をしても歩ける状態なら、行いません。麻酔への反応は個人差があるので、妊婦さんひとりひとりに合わせています。
自然分娩のときに自分でトイレにいける場合、導尿はしません。ただ、すでにいきみの体勢となり分娩台から降りれない時に、尿がたまっていて、赤ちゃんの通り道をじゃましている場合は導尿してお産が進むようにします。

また、浣腸は極端な便秘が続いているという時以外、ほとんど行わなくなりました。

点滴はママの、
分娩監視装置は
赤ちゃんの、命綱

私たちの病院では、LDRに入ったら、全員に点滴を開始します。中身は血液と同じ濃さのブドウ糖です。

ときとして何の前ぶれもなく起こる弛緩出血(しかんしゅっけつ)。血液が固まらなくなるDICで出血が続き、ショック状態になると血管がぺしゃんこになり、あわてて点滴を確保しようにも針も入らなくなることが、お産ではあるのです。こうした突発的なアクシデントに備え、輸血したり薬を入れる血管を確保しておく必要がどんな妊婦さんにもあります。

また、なかなか陣痛が始まらないときや、あっても微弱のとき、陣痛誘発剤や陣痛促進剤を点滴で体内に入れてお産をサポートすることもできます。

血管確保がお母さんのための命綱なら、分娩監視装置は赤ちゃんの命綱。赤ちゃんの心拍数、陣痛の強弱や陣痛の間隔をモニターすることで、赤ちゃんの状態が良いのか悪いのか正確に判断できます。赤ちゃんが弱っていれば、すぐに取り出して助けることもできます。

この分娩監視装置を使用することで、死産、新生児死亡が減った、あるいは生まれた赤ちゃんの後遺症が減ったことも明らかとなっています。この日本では分娩監視装置を連続で監視しないお産は目をつぶって自動車を運転するように危険といわざるを得ません。

確かに分娩監視のプローブをお母さんのおなかにベルトで装着するので、お母さんは縛り付けられたように感じますが、多少体を動かしたり、姿勢を変えても全く問題はありません。

また、最近では、おなかに貼り付けるだけで自由に動き回れる分娩監視装置もあります。

点滴は万一に備え、血管を確保しておくために、 分娩監視装置は赤ちゃんが元気かどうかを知るためにつける。

陣痛誘発剤、
陣痛促進剤は安全なの!?

お産がなかなか進まないで、お母さんが疲れてしまい難産になることがあります。また、41週を過ぎてもお産にならない、多胎で十分な陣痛が得られない、妊娠高血圧症候群で赤ちゃんにも影響が出そう…、こうしたときには自然の陣痛を待たずに、早く赤ちゃんを取り出さなくてはなりません。

子宮口が開いて、赤ちゃんが生まれる準備ができていても陣痛がこない、または弱いというときは、陣痛促進剤で、陣痛の後押しをする必要があります。成分はオキシトシンやプロスタグランディンなどで、これらはもともと体の中でも分泌されるホルモンです。

オキシトシンは主に子宮収縮、プロスタグランディンは子宮収縮と産道の熟化を促して子宮口を開く役割を果たします。

効き方には個人差があるので、分娩監視装置で赤ちゃんの様子を診ながら、精密輸液ポンプで点滴の速度を管理しながら、安全にお産ができるように微量から少しづつ増量します。ただし、オキシトシンとプロスタグランディンの両方を同時に使用すると強い陣痛が来るので、絶対に同時使用してはいけません。

陣痛促進剤は、産後、弛緩出血を起こした際に、子宮を収縮させて止血する、優れた役割も持っています。

以前、この薬の使い方がいいかげんで、赤ちゃんの監視もせずに使用し、子宮破裂、新生児仮死などの事故が起きたことがあり、「怖い薬」というイメージを持っている人も多いのですが、使い方さえきちんとしていれば、本当に役立ってくれる安全な薬です。

海草棒や風船で
子宮口を広げる

子宮口が硬く、分娩が困難な時には子宮口を刺激して、お産を進める方法もあります。ラミナリアは海草から作った細い棒状のもの。子宮頸管に入れると、水分を含んで膨らみ、ゆっくり子宮口が開いていきます。するとその刺激で、オキシトシンが活発に分泌され、お産のスイッチが入るのです。

ラミナリアは、計画分娩でこの日に産みたいというときにも、使います。また、風船状のものを使うこともあります。

吸引カップ、鉗子で
赤ちゃんを安全に
分娩させるときは…

赤ちゃんが出口まできたのになかなか出てこられないというときに、吸引カップや鉗子(かんし)を使うことがあります。

赤ちゃんはお母さんの産道に沿って体を回転させながら下りてきますが、うまく回転ができない、あるいは赤ちゃんの心音が急に悪くなり急いで分娩させるときに、吸引や鉗子で補助します。赤ちゃんの頭にトランペットの先のような吸引カップをかぶせて導くとスムーズに生まれます。

鉗子分娩は、サラダサーバーのような用具で、赤ちゃんの頭を支え、導きます。

吸引も鉗子も一番大切なことは、安全に使用できる状態に赤ちゃんがあることです。破水していて、子宮口が全て拡がりで、赤ちゃんが産道出口まで下降していることが絶対条件です。多くのトラブルはまだ吸引や鉗子を使用できないときに無理に使用すると起こります。

会陰切開、どうしても
切らなきゃいけないの!?

会陰切開については、できれば切りたくないというのが女性の本音でしょう。もちろん、会陰切開をしなくてすめば、それに越したことはありません。

しかし、巨大児で肩が出にくい場合、赤ちゃんの心音が落ちている場合や吸引分娩のときは、会陰切開が必要になります。いち早く取り上げることが、赤ちゃんの命を助けることになります。

また、赤ちゃんが出てくるときに、会陰切開をすることで会陰が裂けるのを防ぐ効果もあります。会陰の伸びが悪い状態で、いきみ続けると、裂けてしまうことがあるのです。また、会陰の表面は裂けなくても、中の筋肉が裂けてしまうこともあります。

産後の尿もれや膣から便が出る、子宮脱などの悩みは、会陰裂傷あるいは会陰切開をしないことが原因になっていることも多いのです。実際、会陰切開をしないでお産をしていた時代の女性たちには、これらのトラブルが多いというデータもあります。妊婦さんからは、「切りたくない」という申し出もありますが、私がこうした赤ちゃんのため、あるいは女性の将来のクオリティーの確保のためであることを話すと、むしろ、「切ってほしい」となる場合が多いですね。

会陰切開の方法はいろいろあるが、膣口から肛門に向かって真下に切る『正中切開法』、ななめ下に切る『正中側切開法』が主流。切開後の痛みが少なく、予後もよいと評判の『正中三段切開法』も、最近、一部の病院で行われている。

今、行われている分娩時の医療介助は、お産というデリケートな場面では、違和感があるかもしれません。でも、さまざまな技術の進歩により、多くの赤ちゃんが元気に産声をあげています。不安なことは、とことんドクターに相談して、どうか安全、安心、そして納得のいくお産をめざしてください。

監修/久保隆彦先生(国立成育医療センター産科医長)

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