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更新日:2011年10月5日

母と児を“無事出産”に導く「お産プロフェショナル名鑑」 
シリーズ第1回「産婦人科医」の巻

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妊娠から出産まで、妊婦と赤ちゃんをサポートするプロフェショナル。医師や助産師、看護師さんなど、よく顔を合わせる割には、どんな役割を担っているのか、意外に知らなかったりします。またあまり表には出てこないけれど、検査技師や栄養士さんたちにも、じつはしっかりお世話になっています。今回のシリーズは、そんなお産を支えている専門家の仕事をご紹介。まずは、キモ中のキモ、産婦人科医からスタート!

監修/昭和大学病院産婦人科講師 松岡隆先生

産婦人科医データ

資格の名前 医師
資格の種類 国家資格
資格取得までの
道のり
大学の医学部か医科大学で6年間学んだあと、国家試験を受け、合格すれば医師免許がもらえる。さらにそのあと2年以上の研修を行う。
産婦人科医の数 10,389人(平成20年/厚生労働省平成21年地域保険医療基礎統計より)
男女比率 男8:女2(平成16年/厚生労働省「診療科別にみた医師数」より)
主な専門医の団体 日本産科婦人科学会 http://www.jsog.or.jp/
日本産婦人科医会 http://www.jaog.or.jp/
日本周産期・新生児医学会 http://www.jspnm.com/

「もしかして、妊娠かも?」と思って訪れる産婦人科。ここが、ほかの科と決定的に違うのは、「妊娠は病気ではない」ということ。なにせ9割以上の妊婦が、無事に赤ちゃんを産めるのですから。

しかし、一見、何ごともなく健康そうに見えるのに、ある一定の割合でトラブルが起こることがわかっています。こうしたリスクを事前に発見し、回避する手を打つ。それでもトラブルが起こったら、適切に対処して母と子を助け、無事出産までこぎつける。それが、妊娠・出産で出会う「産婦人科医」の仕事です。

妊娠から出産までの医師の主な仕事は、これ!

いわば、お産の水先案内人ともいうべき、産婦人科医。その主な仕事の中身とは――。

妊娠を管理する

妊娠の確定/問診、妊娠検査薬、超音波検査などで、正常な妊娠かどうか診断する。子宮外妊娠など異常があると診断した場合は、手術などで対応する。分娩予定日も決定。
妊婦健診/尿検査、血液検査、超音波検査、内診など、さまざまな検査方法を用いて、合併症などのリスクの高い人を見つけ出す。胎児の発育もチェック。検査は、医師が直接行うこともあれば、医師の指示のもと、看護師や助産師、超音波検査技師などが行うこともある。ただし、内診(指を使っての触診、腟腔鏡などを用いる)は医師でないとできない。
診断・治療/検査の結果、異常がある、または正常でないと判断した場合に、さらなる検査をしたり、薬を処方したりする。さらに大事に至らないよう、生活のアドバイスもする。

分娩介助・産後を管理する

定期的に監視して、分娩を介助する。必要な場合には、分娩誘発、帝王切開等の処置を行う。会陰切開、会陰縫合も医師の仕事。産後、母体の回復が順調かどうかもチェックする。

新生児を管理する

出生直後の新生児をチェックして健康かどうかを評価し、蘇生などの必要があれば処置をする。退院までの間、母と児を観察して、異常があれば対処する。

 

産婦人科、婦人科、産科の違いは?

さて、素朴な疑問。産婦人科と婦人科、産科とはどう違うのでしょう?

「産科」というのは、主に妊娠から出産までを扱う診療科。「婦人科」は、子宮や卵巣、膣など、女性特有のトラブルや病気を扱います。生理不順、更年期障害なども婦人科の分野。分娩のためのスタッフや設備は揃っていませんが、妊婦健診だけ行っているところもあります。「産科」と「婦人科」の2つは、とても関連性が高いので、合わせて「産婦人科」と標榜(ひょうぼう)しているところが多いのです。

産婦人科医になれるのは、8年間の勉強と研修を終えてから

では、産婦人科医には、どうやってなるのでしょう。

まず、医者になるには、大学の医学部か医科大学で6年間勉強したあと、医師国家試験に合格しなければいけません。一般の大学と違って、医科大学や医学部は、国家試験合格に向けた職業訓練校のようなものといえます。

医師免許をとったあとは、研修医として最低2年間、民間の病院など、医療の現場でいろいろな科を回り、広く知識と経験を積むことになっています。将来、産婦人科医をめざす人でも、この間に救急医療や小児科や循環器などといった専門外の分野を現場でみっちり学ぶのです。その後、内科、脳神経外科、眼科、循環器科……など専門の医師としてスタートすることができます。1人前の専門のお医者さんになるまでには、4年生大学を卒業した人の倍の年月がかかっているのです。

眼科のお医者さんでも妊婦健診ができるって本当?

意外と知られていませんが、医師は、標榜(ひょうぼう)している科以外の科の診療もできます。つまり、産婦人科のお医者さんであっても、内科や耳鼻咽喉科、小児科など、ほかの科の看板を掲げて兼任してもかまいません。逆もまた然りで、たとえば皮膚科や整形外科など、他の科を専門とするお医者さんでも、妊婦健診をしたり、分娩を扱っても法律違反にはなりません。
ただし、歯医者さんは「医師」ではなく、「歯科医師」の免許なので、歯科以外の診療はできません。

「産婦人科専門医」って、なに?

クリニックなどへ行くと、よく「産婦人科専門医」という認定証が張ってあるのを目にしませんか? これは、医師免許のような国家資格ではなく、学会が認定するもの。産婦人科専門医は、『日本産科婦人科学会』が認定します。産婦人科医としての経験年数や、症例報告、学会に論文を発表していることなど、もろもろの条件を満たした上で、試験や面接を経て資格が与えられます。

医学の知識や技術は日進月歩。医師にも常に勉強が求められています。専門医の認定も年々厳しくなっているそうですから、こうした専門医の認定証は、その分野の高度な専門知識を持っている医師であるという、いわば“お墨付き”のようなものと思っていいでしょう。

ハイリスクに対応できる周産期専門医

最近は、さらに専門性を高めていこうという動きが活発です。不妊治療などを得意とする「生殖医療専門医」、子宮ガンなどの腫瘍(しゅよう)は「婦人科腫瘍専門医」、そしてハイリスクの妊婦にも対応するために腕を磨いているのが、「周産期専門医」です。地域の中核となる周産期センターなどで活躍しています。

日本の周産期医療は、世界に誇るハイレベル。妊産婦や新生児の死亡率も超低い、世界トップクラスの安産大国ですが、過去の技術に甘んじていては、さらなるレベルアップはのぞめません。ひとりでも多くの妊婦と赤ちゃんを助けるため、さらなる研鑽(けんさん)を積んでいるのです。

産婦人科医を志望する、その理由は?

ちなみに、今回お話を伺った松岡先生は、周産期を専門とする産婦人科医で、大学病院で主にリスクを抱えた妊婦を診ています。しかし、医者を志した当初は、「産婦人科医にだけは絶対になるまい」と、固く心に誓っていたそうです。父親が産婦人科医で、仕事の大変さを目の当たりにしていたからです。「もっとラクな科の医者になろう」と思っていた、その決意がひるがえったのは、研修期間。いろいろなジャンルを経験するうちに、「やっぱりいちばん自分の肌に合っているのは、産婦人科」と思うに至ったと言います。

生命誕生の場面に立ち会える喜びは、何にも変えがたいものがあるといいます。「おめでとうございます、ありがとうございます、と言って感謝されるのは、唯一、産婦人科だけですから」(松岡先生)。

一時、ハードすぎる勤務や、医療事故での理不尽なまでの責任追及から、産婦人科医を志望する人が減っていましたが、待遇改善が叫ばれたこともあり、最近はまた増えてきているそうです。

 
 

監修

松岡隆(まつおか りゅう)先生

昭和大学医学部講師。昭和大学病院産婦人科産科病棟医長。平成6年筑波大学医学専門学群卒業後、昭和大学産婦人科学教室、平成14年昭和大学産婦人科学教室助教を経て、平成21年より昭和大学産婦人科学教室講師。日本産婦人科学会産婦人科専門医、日本超音波医学会超音波専門医、日本周産期・新生児学会周産期(母胎・胎児)専門医、臨床遺伝専門医。妊婦の不安や考えがどこにあるかを汲み取りながら最善の方法を尽くす。
「産科(周産期)のプロフェショナル」を自負。アドバイスや治療方針の説明も温かくわかりやすいと評判。

昭和大学病院産婦人科ホームページ

 
 

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